第2話 レモンジュース

なにやってもうまくいかない、というわけでもないが、近頃のデイの採用とくれば、見学に行って、実習に行って、やっと面接というカタチだ。兄に

「もう、早よ、面接とかやって、パッパ、パッパやってきたいわ~」と、ボヤいたところ

「アホ、お前のいままでの就職の仕方、考えてみー。面接、当日行って、当日、採用やったやんけ。経験上、そういうところって、採用されても、ええ職場環境、違ごたやろ?少しは、学習せえ」

と言われた。



そうなのだ。パッと行って、パッと決まる。

いわゆる急募のところだろうか。そんなところに限って、職場環境が良くなかったり、なにか問題点があるのだ。


いまの、ちまちま、見学行って、実習行って、面接やるというところは、なかなか決まらないが、決まったら、長く続くかも知れない、というのが、就活サークルの教えであり、いまのぼくの姿勢なのだ。

決して、悪い姿勢ではないだろう。


ところが、それで採用されればいいが、不採用だった場合の時間と、労力を考えてみよ。



不採用のショックは、半端ではない。そうこうしてるうちに、体に疲れがたまってきた。


初めてではない。若いころから、疲れは、ためやすいほうだ。原因不明の疲れから、こころの不調の疲れと、いままで、経験してきた。でも、いつも、乗り切れてきた。今回は、どうやって乗り切ろう?


二十代のころ、近くに純喫茶があって、そこで、レモンジュースというレモン100%のジュースを飲めば、あら不思議。

魔法のジュースのように、疲れを乗り切れてきたが、その純喫茶は、もう、とっくの昔に閉店した。


いまは、なにに頼っていいのかわからない。


三十代のころは、三ヶ月くらい、この疲れが長引いたときがある。

そのとき、「疲れのたまり切ったサラリーマン」の小説を書いて、自分と照らし合わせて、乗り切った記憶がある。はてさて、どうしようか。

今回は、小説のネタも思い浮かばないぞ。この疲れ。

長引いたら、どうしよう。もう、見学、実習、面接と乗り切れるだろうか。困った。



レモンジュース。飲みたい。

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