六月十日 二日酔いのあなたへ

@rakuten-Eichmann

全部くだらない

白昼夢に現実を押し込んで、代わりに得たものは幻だけだ。

その幻もいつかアセドアルデヒドの結晶になって暗い六畳間を飛び回る。

(チリンチリン、どこかで鐘がなる。)

血の混じった性液は東大受験の夢を見るか。

なんてありもしない将来に期待するくらいなら、明日と明後日と明明後日の分の酒を飲み、さよなら代わりに唾を吐いた。


僕の残機はあと少し。夢の末端価格はすでに暴落済み。

切り売りした分の時間があれば、宇宙にだって行けたのに。


眠れないから、電球が燃え尽きるのをじっと待っていた。

光を眺めていれば、夜がいつまでも続いてくれる気がした。

今日が溶け出して、昨日と明日の境目がなくなった時に、僕は一体どこに行こう。

希望も後悔もなくしてしまった僕に、影はいつまでもついてきてくれるだろうか。


頭蓋の中の消えない痒みは、言葉に染み出して僕の輪郭をなぞった。

自由っていう言葉に誰よりも縛られて、何もできなかったのはお前じゃないか。


鏡で出来た眼で空を見上げると、安い柔軟剤の匂いが鼻についた。

好奇心の姿を借りた何かが、夜の街灯の下で手を振っている。


まあどうでもいっか。


救いはいらないから、ショットガンをもってこい。名前を砕いて、死にすら続きを与えようじゃないか。

永訣の朝に光る星が美しいのなら、僕のことを思って、部屋の電球をつけといておくれ。

止まらないのです、ガブガブ飲んでいますから。

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