第1話 つらいげんじつから
クスクス…クスクス…
毎日、必ず聞くのはこの音。
これだけ聞けば分かるだろうけど私はいじめられっ子だ。
私は小さい頃から、空気が読めなかった。
小学生の時は、友達がいなかったり、ちょっと揶揄われるくらいで済んだけど、中学は違った。
私みたいな浮いてる子はスクールカーストの人間のいじめの標的になりやすいのだ。
そしてその通りになって今に至る。
家族は私に無関心でほぼ家を空けてるし、頼りになる人が居ない。
唯一の心の支えは読書とインターネットである。
今日はネットサーフィンの気分なのでPCの前に居る。
しばらく、掲示板を漁っていた時、都市伝説らしきものを見つけた。
『ワンボックスワイフって知ってる?』
私はオカルトが大好きなので、すかさずクリックをした。
『サイトなんだけどなんかログインボタンしかなくてログインすると行方不明になるらしいよ』
『これは香ばしい匂いがする』
『kwsk教えて!』
『なんか条件満たして無いと検索しても出でこないらしい、俺は出てこなかったからこれ以上は分からん、誰か情報持ってる奴いる?』
『俺も聞いたことあるけど、見たことない』
へえ、そんなサイトあるんだ。
調べてみようかな。ログインして私が居なくなっても誰も悲しまないだろうし。
検索欄に『ワンボックスワイフ』と入れてみた。
「嘘…出た」
そう、サイトが現れたのだ。
「私は条件を満たしているってこと…?」
もう、ログインすることにした。だってこんな日常から抜け出せるなら死んだっていい。
『ログイン』のボタンを迷いなく押した。
その瞬間、視界が暗くなった。
「…い、おーい、起きろって」
「うーん…?」
男の人の声で目を覚ました。
目覚めるとそこは見たことのない部屋だった。デザイン的には素朴な感じ。
「やっと起きたか、随分なお寝坊さんだなァ」
目の前には見知らぬセミロングのイケメン。
「え?此処どこ、貴方誰⁉︎」
「おい、落ち着けって!ほら深呼吸しろ!」
と言われたので深呼吸。
「すー…はー…」
「落ち着いたか」
「うん、だいぶね」
「良かった」
彼は微笑む。
…いや、初めてだよ⁉︎こんな表情向けられるの!しかも初めてがイケメンとか!
「とにかく、お前がさっきすげぇ勢いで聞いてきたことを、答えるぜ、まず、ここはワンボックス、その名の通り、箱型の部屋だ。出口はない」
「はい」
まあ出れなくていいんですけどね。
「で、俺は優弥。よろしくな」
「実衣です、よろしくお願いします」
と握手を交わす。握手も初めてなんだが?
「で、今日から、二人でこの部屋で暮らすことになる、大体わかったか?」
「え…?つまり同居…?」
「まあ、そうなるな、まあベッドは2つあるから、嫌なら添い寝する必要ないからな」
「それは、わかりますけど」
「まあ、お前が恐れてることはしないから、安心しろよ」
「あ、はい」
いやいや、待て!分かるけども!
イケメンと同居って!緊張しちゃうよー!
To Be Continued
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