蒼太の話『死なせてくれない幽霊』
蒼太の話
半ば無理を言って家に入れてもらった
しっかりと話を聞いてメモを取って、は無理っぽかったので、あとで聴き直せるように録音した
________________________________________
あ、え、なんで?
なんでお前家来て
つか、かぎっ、鍵とあと親っ
は、頼み込んで開けてもらったってなにっ、え?人いれんなって
無理無理怖い怖いてかお前白月と仲良かったじゃん、え?なに、連れてきたわけ?
いや何ってお前ふざけんな
いやだから、知らないのか、ラインブロックしてたし
あの、だから白月だよっ!あいつが、あいつがずっと、ずっと俺のこと、やだやだやっぱ無理無理
へ、あえっ、うあっ
あの、タケちゃんトラックに轢かれて、死んで
俺、一回死のうとしたんだよ
俺さ、タケちゃんにずっと守ってもらってて、だからっ、タケちゃんが生きてないなら生きてる意味ないし
もう、死のうって、首吊ろうとっ、あの
縄を用意して、俺さ、タケちゃんとは10歳の頃から友達だったんだよ
俺ビビリだったけど、タケちゃんは強くてかっちょよくて、いっつも俺を守ってくれて
俺がつまんねー怪我したとき、親とかより100万倍心配してっ、それからずっとずっと俺のためでさっ
友達なのに、あはっ、結局恩返しする前にっ、うえっ
なのに、トラックに轢かれてとか、しかもトラックの運転手もさ、心臓発作で死んでてっ、何で意味わかんねぇよっ、何が、どうなってっ
あと1週間だったんだよ1週間でタケちゃんの誕生日だったんだって、タケちゃん忘れてたけど、俺、こっそりヘルメット、
タケちゃんバイク好きだったからっ、傷ついてきたって言ってたからフルフェイスのやつっ
ぜんぶっ、ぜんぶ白月のせいだよ
事故の時、みたって奴いたもん!道路の真ん中で、白月がトラック指差してたって
あいつ
あいつずっとタケちゃんを付け回してたんだよ
あいつあいつあいつっ
死ぬ前、タケちゃんいつになく弱ってたんだ
白月の名前言いながら、ぶつぶつなんか呟いてたりして、でも俺タケちゃんに守られたことしかないから、何したらいいかわかんなくて、タケちゃん大変そうだなーって
したかったよ
してあげたかったのに、俺バカだから、弱っちくてビビリだから、心配して、一緒にいるくらいしかできんくてっ
なのにタケちゃん、幸せそうなんだっ、なんでなんでっ、すごく弱った顔してても、俺が背中さすると、笑うんだっ
意味わかんないっ
ずっと、耳っ、耳の奥で耳がおかしくて変だって
なんか、聞こえるって言ってたんだ
白月が、言うんだって耳元で
その、死に方
死に方を、教えられるんだって
いろんな自殺の方法を白月が耳元で言ってきて
それをしろって言うわけじゃないんだけど、何度も何度も耳元で言われて、だんだん夢で自殺するようになって
だからあれ事故じゃなくて祟りとか、呪いとかっ
ちょくぜっ、トラック轢かれる直前っ
タケちゃんから、タケちゃんから電話かかってきてさっ
大丈夫か?って
白月見えてないか?大丈夫か?平気かって何度も何度もさっ
それで、言葉が途切れて
グシャって、
俺、おれ頭から離れなくてっ、タケちゃんが死ぬ時、なんでそばにいてあげられなかったんだろうって一緒に死ねばよかったのにって
うっ、うううううう
なんで、なんっでタケちゃんなんだよっ
俺なら、俺なんか死んだっていいのにさ
なんで
俺ずーっとタケちゃんが俺のため俺のためなの可哀想で嫌でっ
だからっ
だから俺実は、実はタケちゃんが白月の幽霊で悩んで弱ってる時、喜んでたんだっ
俺に、弱み見せてくれたって
そ、そのくせっ
なんもなんもなんもできなくてっ、頭ん中で俺のことだけじゃなくてタケちゃんが幸せになってとか思ってても結局甘えててっ
俺が死ねばタケちゃん好きに生きれたかもなのに
なんでタケちゃん、なんだって、何度も、何度も俺っ
いや、タケちゃんだけじゃないたくさん死んだもんっ、高橋も、長沼も大石(タクヤのこと)もっ
祟り祟り祟り俺たち全員恨まれてるきっとクラス全員、俺たち悪いことなんかしてないのに逆恨みだよ逆恨みっ
逆恨みで、こんな、こんなたくさん人って死ねるの?俺なんか、ほんとは悪いことしてて天罰受けてるんじゃないの?
そうじゃないとおかしいって、だから、だから死のうって思って
タケちゃんと一緒のところに行くんだって、俺そう思ってさ首を吊ろうとしたら、
な?
縄に首を通した瞬間、隣で白月のやつがニタニタ笑いながら俺を見てたんだよ
ほんとだって、ほんとっ
俺が縄の輪っかのところ掴んでさ、首を突き出してる、そこに顔近づけて、こう、突き出すのを
横から笑いながら見てんだよ
白月、青ざめた顔で、スーって息を吸うんだ、そうすると俺は力が抜けて、心の準備をする前に首を吊っちゃうんだけど、けどっ
死ねないんだ
白月、あいつが見てる時、死ねなくてっ
首はしっかり絞まってて苦しいのに意識が全然無くならないんだ
必死で暴れて首吊りをやめたら、白月は消えてってて
でもまた俺が、俺が首を吊ろうとすると、首を通した瞬間白月が現れてて
息を吸って、なんか、言うとさ、死ねないんだっ
死ねないんだよ、首吊ってるのにおかしくてっ
俺、怖いよ
だってあいつ、首吊って、首吊ってるのに死ねないでバタバタしてる俺に拍手してんだよ
死ねない俺のこと見下ろしながら、長い髪が顔に当たって、パチパチパチパチって
たす
助けて
助けてじゃなくて、だから出てって
出てけって
白月が見てるから、みてっ、見てる
あっ、あっ、やだやだやだやだやだもうこれ以上、これ以上苦しめないでくださいお願いしますっ
いるっ、いるよなんで見えないんだよお前ふざけんないるっているいるいるいるいるっ
いやだごめんなさい死ぬなら死なせてくれよいやだいやだいやだっいやだいやだいやだいやだ
(同じことしか言わなくなったので退室)
________________________________________
要領を得なかったけど、多分
タケ死んで蒼太が首を吊ろうとする→ミウくんこ幽霊が現れる→ミウくんの幽霊が見てる間は首を吊っていても死ねない→それを見てミウくんが拍手してる
こういうことだと思う
タケと蒼太がどんな関係だったか、俺はパッとみた感じのベタベタつるんでるイメージしか知らないけど、多分あの2人の間にはもっと大事な気持ちみたいなのがあったんだと思う。
だから、幼馴染を亡くした蒼太には、同情する。同情っていうか、自分も辛いというか。
俺とミウくんも、幼馴染だ。
追記:もう一回話を聞きに次の週に訪ねてみたら蒼太は窓から落ちて死んでいた
少し落ち着いたと思ったらの事って蒼太のお母さんが泣いてた(と思う)
即死でもおかしくなかったのに、落下地点から20メートルくらい這いずってたらしい(これも蒼太のお母さんが教えてくれた。なんか、声が笑ってた気がする)
追記:蒼太のお母さんが、蒼太のお父さん刺して捕まったあと刑務所?勾留所?で無理やり引き抜いた自分の髪の毛を飲み込んで死んだらしい。
殺した動機は浮気相手と一緒になりたくてみたいな理由があったらしいけど、肝心の浮気相手が全くわかってないらしい。あくまで噂だけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます