いっつも怒ってばかりの友達の愚痴を聞いてたつもりだったけど、よく思い直してみると…惚気やん!

Nyamu

第一話 ほんとどーしようもない

「でさぁ…聞いてよアッキー、大樹だいきが全然いうこと聞いてくれなくて~」


 帰りたい…。でもそんなことおくびにも出さずに聞いてあげてる私を誰か褒めて欲しい。


「ハイハイ、それで? 初夏はつか君が何を聞いてくれないのよ」

「だからぁ、私がお弁当作ってあげるって言ってるのに、全然受け取ってくれなくてさぁ」


 そりゃそうだろなぁ。真冬まふゆの弁当、偏り過ぎててバランスもなにもあったもんじゃないし。


「全然って、昨日一緒にお弁当食べてたじゃない」

「週五日で四日しか受け取ってくれないって、全然じゃない?」


 全然の漢字の意味を調べ直してこい、このバカ娘は…。


「とにかく、大樹は遠慮しすぎてて、私はもっとラブラブしたいの!」

「十分してんじゃない真冬は」

「全然だよ! 朝晩一緒に登校してるだけで、お昼も一緒だけどクラス違うからずっとはいられないし、部活も違うし、家も遠いから秒で会いに行くとかできないし…」


 初夏君も人が良過ぎる…。束縛系の地雷系? 彼女じゃないのかこいつは…。


「それに、たまに大樹がバイトで時間取れなくて、一緒にいられないから寂しくてライン送っても返信遅いから心配で」

「そりゃバイトくらいするでしょ、それに遅いってどのくらい遅いのよ」

「10分? くらい」

「このあんぽんたんがっ!」

「ひぃぃっ! ごめんアッキー!」

「私に謝ってどうすんの!初夏君に謝りなさい! 今すぐ謝りなさい!」


 怯えた真冬が涙目でスマフォを操作し、初夏君に通話し始めた。


「うん、突然ごめんね。今時間大丈夫? うん、いつも大樹のラインの返信遅くないかなって…うん、無茶言っててごめんねって。うん、そんなことない! 私が我儘だったから…うん、うん、ありがとう。うん、それだけ…ん、大樹も頑張って、またね…大好きだよ、チュッ」


 私は何を見せられてるのだろう…。飲み物取って来ればよかった。


「アッキーだいじょぶだったよ! 大樹全然怒ってなかったし、嫌じゃないって! 逆に遅くてごめんって…もう! 大樹ったら~もう! 」

「そお…よーござんしたね…」

「でもでも、今日は忙しいから会えないって。一緒に帰れなくてごめんって」

「バイトしてんなら仕方ないでしょ、それくらいは許してやんなよ」

「わかってるけどぉ…少しでもいっしょにいたいなって…大樹も思っててくれたらなぁって…」

 

 己は、どこまで一緒にいたいんじゃ…もう嫁入りでもすりゃよかろうに。


「そういえばこの前デート行ってきたって」

「そお! 待ち合わせして私が遅れたのを、ちゃんと叱って欲しかったのに、僕も今来たところだから待ってないよって」

「いい彼氏じゃない」

「わたしは大樹に叱って欲しかったの! 私の我儘なところは、ちゃんとこうして欲しいって!」

「自分で直しなさいよ」

「違うの~、大樹に、「真冬、ちゃんと時間通りに来れなくても早めに連絡はして。なにかあったらと心配だから」って優しく叱って欲しいの!」


 無駄にイケボやなこいつは…でも地声は可愛いという。


「わかったわかった、で、プールも行ったんでしょ」

「行ったの! プールも楽しかったの! でも…」

「でも…?」

「大樹は私の水着をちゃんと見てくれなくて、大樹のために新しい水着を選んだのに」

「へ~、どんなの買ったのよ」

「普通のホルターネックの競泳水着だけど」

「まぁいやらしくはないわね…」

「胸の真ん中空いてて、ボトムカットがV字だったけど」


 ぶーーーーーっ!!!!!コーヒー吹いた!!!!!


「この馬鹿娘が! 痴女! 変態! どこの高校生がそんなエロいハイレグ着んのよ! 」

「だって~大樹が喜んでくれるかもって…一応最初は上にパーカー羽織ってたし…」

「あんたのその爆乳でそんな水着着るのも問題だし、パーカー羽織っても余計胸が強調されて大変なことになるでしょ!」

「でもでも、大樹が僕の後ろにくっついてて…誰にも見せたくないからって」

「そりゃあ…自分の彼女のエロい姿を見せびらかしたいわけないでしょ…」

「だから、ぴったりくっついたら大樹が歩きにくそうで」

「あんた言ってる意味わかってんの!?」

「? 体重かけすぎて重かったかなって…でも50㎏はキープしてるよ!」

「脂肪って軽いんだっけ…」

「痛い! 痛い! アッキーおっぱい掴まないで~!」


 駄目だ…今度一緒に違う水着を買いに行かなければ。公然わいせつ罪や迷惑防止条例違反で捕まってしまう。友達が前科持ちは流石につらい。


「そういえば、来月彼氏の誕生日だからって、プレゼント決まったの?」

「うん…決まったと言えば、決まったんだけど…」 

「なんで含みがあんのよ」

「お、怒らない?」

「聞いてみなきゃ分かんないわよ」

「………」

「怒らないから言ってみなさい」

「大樹の言うこと一つだけ何でも聞いてあげるって」

「ほ~ん、まぁ安易なエロに走らなければそこまで怒ることでも…」

「真冬のを予約したいなって…」

「あの馬鹿っ! まともかと思ったら言うことがキモイんだよ!!! しばく!今度会った時、しばき倒す!」

「ほらアッキーやっぱり怒ったー! 怒らないって言ったのに!」

「当たり前でしょ! あんたも、初鹿も頭沸いてんでしょ! 健全なプレゼントにしなさい健全な!」


 こいつらは、ほっとくと最短で卒業前に不幸まっしぐらだわ…。頭痛いけど監視しとかないと…。


「あぁもうこんな時間…いい? 真冬、彼氏のプレゼントは考え直して、今度私が一緒の時に初鹿に考え直させなさい」

「えぇ~…わかった」

「絶対よ?」

「うん…」


 こうしてアッキーアッキーうるさく呼ばれた春華秋穂はるはなあきほと腐れ縁の水島真冬みずしままふゆの、ほんとーに




勢いで書いた…つづくかわからん

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