僕と由佳の物語①〜僕はいつだって君が真っ直ぐで眩しかった
僕は小学六年でこの街に編入した。
正確にはその年に大地育子さんに拾われ養子になった。
僕は元々人付き合いと言うのが分からなかったし、後から知ったが六年生と言うのは友人関係が出来上がっており、僕は孤立していた。
ただ、この世界の事を知るのにいきなり人間は厳しいと思い本を読んでいた。
絵本、小説、漫画…だけではない。科学の本から歴史書まで図書室の本を片っ端から読んでいた。
中学に入って社長に会って、社長にNTRやらBSSがどうしたというウルトキングが影響を受けた物語を知るまではちゃんとした本?を読んでいたと思う。
そんな本の虫の僕に話しかけてきたのがユカだった。
『転校生クン!君の名は?いつも本読んでるけど君はヒーローが出てくる物語に興味はあるかな?私は相武由佳!いつかヒーローになりたいと大真面目に思っているんだ!』
最初は変わった人だなと思った。
様子を見ていると彼女は良くも悪くも孤立していた。
彼女は真面目で、だけど調和が取れるタイプでも無かった。
学級委員の女子は真面目にクラス全体をまとめようとするが、ユカは細かい事にとにかく煩かった。
例えば友達同士の冗談でちょっとじゃれ合ってると『暴力はよすんだ』とか、ちょっとふざけて『馬鹿』とか『◯ね』とか言ってても『イジメはやめろ!』とか注意する。
なまじ良い家で成績も良く運動も出来るから手に負えない。
だから正直、周りから煙たがられていた。
『例え嫌がられてもいつかは分かってくれる!それが正義だと、私は思う』
世の中見てれば分かる、いつか分かってくれる正義なんて無い。
でも、地球にいて分かった事がある。
この日本と言う国は【なぁなぁ】で済まし、空気を読んで行動する事が多い。
まっすぐに育つ子はいつか異分子として扱われる。
僕もそれで、小学校の職員室に呼ばれ人付き合いを注意された時に、純粋に『何でですか?』と質問を繰り返した所、おばあちゃんの育子さんの代わりに来た社長にひっぱたかれてから、何となく空気を読むようにしている…が、ユカはそのまま、折れずに何と高校まで行った。
僕はユカの正義の話が好きだったを
まるで小説の主人公の様で沢山の話を聞いて、カッコいいと思った。
そんなユカだが中学では孤立や陰口は当たり前、将来の事を見据える年齢、周りも現実が見えてくる。
そもそも正義の味方なんて職業は無い。
それでも、僕はそんなユカがとても眩しく見えた。
だから応援した、一緒にいてその心に寄り添って、励ました。
『私はもしかして間違っているのかな?』
「間違ってないと思うよ、だってユカが正義を振りかざす時はイキイキしてるから」
『振りかざすって言い方は…でもありがとう!もうちょっとで負ける所だった…私が正義の味方になれたら、ソラは恩人だな』
そんな中学生活、最後の方で僕は高校生のヤンキーに絡まれた。
金を出せと言われたが疑問に思ったので、どうしてお金を?生活が苦しい?等と質問したら沢山叩かれた。
痛くはないが見た目的に酷いなと思っていたら…
『やめろお前ら!ソラに手を出すな!』
そして切り裂くような回し蹴りから正拳突きと言う程格闘技っぽくないが…
ユカがおかしな事になっていた。
常人の数倍の力でヤンキーを倒したのだ。
今思えば、あの時からウルトメスのコアを持っていたのかな?
『やっぱり…私は手に入れてしまったんだ…けど…私なんかがこれは使って良いものなのだろうか?』
普通に鍛えたんじゃないのかな?
とうとう厨二病でも発症したのかなと思ったけどそれでもユカはユカだ。
とりあえず合わせる。
「力を持ったのがユカだから良いんじゃないのかな?力は正義の味方が持っていた方が皆嬉しいよ。少なくとも僕は嬉しいな。やっとユカが正義の味方になれるんだもの」
『そっか…そうだな!ありがとう…ありがとう!ソラ!これは私とソラの秘密だぞ!』
涙目になりながら抱きついて来たユカ。
余程嬉しかったのか、何度も感謝された。
だから僕もつい…言ってしまった。
「これは秘密だけど、僕は旅の宇宙人で、コアは星型のヒトデみたいなモノ二つで棒を挟んだ形をしてるんだ。これは内緒だよ?本当に」
コアは弱点、それを教えるのは自殺みたいなものだ。生き死にが関わるからついつい念を押してしまった。
だけど彼女にならと、つい言ってしまった。
『うーん?魔法少女のスティックみたいなものかな?良くわからないけどソラが言うならそうなんだな、絶対秘密にする。二人でだけの秘密だね』
僕ら二人の秘密、それは距離を縮めるのに十分だった。
『そ、ソラはどこの高校に行くんだ?』
僕は成績は悪くない、ユカも勉強が出来る。
ユカが考えている事は分からないけど、僕はユカがこの現代日本でどんなヒーローになるのか見たかった。
だから話しているうちに、何だかんだで同じ高校に行く事になった。
高校に入ってもユカはいつもの調子だった…が、高校まで行くと今度は周りが認め始めた。
ちょっと変わった事を言う綺麗で頭も良く、運動が出来る女の子。
今度はそれが良い部分となって発揮された。
ユカはこの頃には少し周りを見れる様になり、しかも出るとこも出始め、少し大人になったのもあると思う。
気付けばいつも人だかりが出来ていた。
ユカに笑顔が増えて良かったと思った、二年になると生徒会にも入っていた。
僕は相変わらず高校に入っても一部の友人と少し話す程度で、干渉しなかった。
道場には出入りしていたが、なんせ育子婆ちゃんの具合があまり良くなかった。
養子とは言え、育ててくれた人だ。
最後までしっかり看取りたい。
何回がユカも育子婆ちゃんに会った事があるので、たまに学校帰りに手作りなのか家の残りなのか分からないが、夕飯を持って寄ってくれた。
「いつもありがとう!ユカ」
『ちゃんと食べなきゃ駄目だよ?元からソラは線が細いんだから…』
ある日の夜、育子婆ちゃんに言われた。
『ユカちゃんは良い子だね。ソラはユカちゃんの事、どう思っているのかい?』
「どう思っている?どうなんだろうね。でもユカは人気者だから僕がどうこう…」
『周りの話じゃないよ?こういうのは、ソラがどう思っているかが大事なんだ。好意はあるのかい?多分ユカちゃんはアンタの事が好きだよ』
ウ~ン…人で言う所の恋人、好意、番…気持ちか。
言われてみると意識してしまう。
ユカの笑顔が眩しく見える、学校でもユカの話や仕草を追うようになった。
それをユカも気付いているような気がした。
『ねぇ……ソラ?私の事、どう思ってる?』
これは…この気持ちはなんだろう?言葉に出来ないモノ、きっとこれは…
「好き…何だと思う…だから最近、ユカの事を目で追ってしまうんだ」
『ど、どんな所?どんな所が好き?』
「大人になり花が咲いたように美しくなった姿、太陽の様に変わらない心、艶やかなな仕草、人として尊敬出来る考え方、正しい道を歩んでいるその生き方…でも、それ以上に、今はドキドキするよ、これは何だろう?」
ユカがびっくりした顔をした後、モジモジしながら言った。
『いきなりそんな…昔から知ってるソラがいきなり…私はさ、そのドキドキがずっと前からソラに向かっているって言ったら…信じてくれる?』
ただ、ぼんやりユカを見ているだけの僕を?
そう思った時、ユカが僕の唇に、唇を押しつけてきた。
『ぷはっ!これが私の今の精一杯!でも気持ち伝わった?』
「え?えっと?キス?何が?」
『だから返事だよ!ドキドキの返事!私だって…何でも守れないのぐらい分かってる!だからソラを守る為に…力を使うの!ソラの為に…だから…』
「だから…?」
『ソラもずっと私を見ていてね?』
夕日を背に、頬を赤らめて、はにかむ笑顔のユカ…
あぁ…これが…旧友のウワキユーが言っていた愛なのか?
婆ちゃんの言ってた人を好きになるって事なのか?
僕は高校2年で、誰もが羨むヒーロー…いや、ヒロインと一緒になれた。
『でも…高校卒業まではキスだけ…だよ?』
僕は余りに性的な事に詳しくない。本を読んだだけ。だからそんなに多くを望まない。
今はユカと手を繋いで、手の温かさと唇の柔らかさだけでお腹いっぱいだ。
それから放課後は楽しかった、ユカと一緒にいる時間が増えた。
『この特撮ヒーローがね?カッコいいセリフを…』
ユカは僕の前だと子供のように昔に戻る。
それが自慢で、それだけで幸せで…
だけど足るを知る事は良くもあるが悪くもある。
欲を向けずに、縛らずに自由にしてほしいと願えば、その才能は糸が切れた凧の様に遥か彼方に飛んでいく。
そして高校三年、ユカが防専にスカウトされて、その日常は変わって行く…
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