紅月の姫と騎士

KS

プロローグ

雨宮蓮は度々夢を見る。

 その夢はとても人には言えないほどに惨い情景であった。そこは辺境にある田舎の小さな都市のように思えた。その小さな都市は平和そのものであった。突然その都市はたった一人の少女の手によって紅蓮に包まれていった。その都市の人々は虐殺され、酷い惨状が広がっていった。その光景だけみても吐き気がするぐらいに。

 その夢で映ったのはシルエットだけで、その少女は長い白い髪をしており、黒い服を身にまとい、大きな鎌を担いでいるように見えた。その少女は不適に笑っており、しかもこの虐殺を楽しんでいる様にもみえた。まるで初めてのおもちゃを手にして喜ぶ子供のように。

 その少女の後ろには数人の人影もあった。その人影はその少女に従っている様に見えた。この都市を徹底的に破壊し、跡形も残さぬように壊しつくすように。

 その少女に立ち向かう人々の姿も見えた。武器を持ち立ち向かうが歯が立たない状況であった。立ち向かった人も少女の前では殺される一方であった。

 これは最早戦争と呼ぶには相応しいぐらいの惨状であった。互いに殺し、殺され、わずかにも悲鳴も聞こえる。

 これは夢の話であり、破壊する目的はまだ知りもしない。が、これは悪夢の他に何もないであろう。その時、紅蓮の炎は自分の辺りを包み込んでいた。夢の中の話ではあるが、その時、自分の身体にも熱さが感じる。

その炎の魔の手が自分に直接自分に襲い掛かろうとした。そして殺意の塊が襲い掛かって来たようにも思えた。

その時、一人の長い金髪の女性がその炎から不思議な白い光で護ってくれた様にも思えた。この夢はこれで終わる。これはいつも見る夢なのだが、フィクションにも思えない気がしている。

何度も何度も見る夢なのだが、最近になってからこの夢を見ることが頻繁に増えてきた。これから何かよからぬ事が起きるのでは?と最近になって警戒している程だ。ただ普通に高校に通っていつもの通りの一人暮らしの生活を送っているだけなのに、このいつも見る夢は何なのか。そしていつもこの夢を見ているが内容も内容なのでその日の朝の負担はいつも重い。その分、気分が悪くなる。だが、護ってくれたあの女性には身の覚えがあるような感じがあった。

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