乙ゲー世界の黒子くん~裏方なのに主人公達に好かれていますッ?!~
Aさん
〜1〜主人公達はスゴいですが、一癖あります。
「レベルが15?! MAXじゃないですか!!やはり主人公は違いますね!!」
「いやいや、それほどでも無いですよ」
始業式の大広間で鑑定される生徒達、その中でも一際輝いていた人がいた。
水晶に手を置く攻略キャラ。
そこに映し出されたレベルを見て絶句するモブ。
キラキラとした目を見せてあの人は凄いのだと驚くガヤの姿。
そう。誰もがヒロインや攻略キャラに憧れるのは普通だ。
いつもヒロインが中心にいて、そこの周りには助けてもらったキャラ。
憧れているキャラ、ライバルとして戦うキャラ、ヒロインを恨んでいるキャラ。
普通で平凡なガヤだっている。
色々なものがありますが、それは僕に全て当てはまりません。
何故かと言われたらこう言い返したいです。
「僕は黒子の
======
僕の朝は早い。
5時起きをして3分間は日を浴びる。
そしてご飯を食べて、自分磨きの為にランニングをする。
一キロもすればもう動けません。
あんなに走ったり動けるのは主人公補正なんだろうな。
いいよね、息を切らさずに走ったり、ダンジョン攻略したり。なんのスポーツでも万能なのって。
一度は体験してみたい。
そして、今日の撮影で使うヒロインがイベントで渡す用のお弁当を作る。
キッチンでフライパンを取り出し、ササっと準備する。
卵焼きや、キャラクターのおにぎりは必須科目。
唐揚げは主人公が好きだから出さないと怒られる時が多い。ちょっと味濃いめが良いんだとか。
あれだけ動いているのだから必要な栄養になるのだろう。
だが、これでも野菜は食べてもらわないといけないと言っているはずなのに。
僕だって健康には気を付けているのに……。
「でもォ! なぜ攻略キャラ達はずっと痩せてるのォ!」
失礼、これはうるさかったですね。
これだから怒られるんだよ。
ほんと僕のばかって言いたい。
ヒロイン達が撮影してる時に見てみたいけどガヤの声すら入れない。
悲しいよなぁ。
黒子仲間もいるけどこういうお弁当作りとか主人公のサポートとか。
裏方の裏方っていうの? 大体僕がやってる。
他の黒子は編集作業とか、撮影とか小道具作りとか……。
あれもカッコいいよね。
でも朝からこれだけのことをする僕、偉い。
こうでも言わないと学校に、いや。外にすら行きたくないのが実情です。
だってあんなキラキラの中に混ざれってことだよ?
みんなだって嫌だって言うでしょ。
そのぐらい一緒にいるのが怖いというか恐れ多いというか。
そんな言っている間にお弁当は完成した。我ながら上出来である。
そして今日の朝ご飯は卵かけごはん。
直ぐに食べて朝の支度をする。カバンとか教科書とか、一応メイク道具も入れておく。
「あ、そろそろ主人公達が起きてる頃だな……ちゃんとしているか確認の電話をしないとな」
こういうことをしないと大変なことになる。
ご飯食べないとか、学校来ないとか、etc……。
そんなことが起きたら大変なんだからね?
電話の音を鳴らし続けるとやっと出たのはこの世界の主人公である【
「なんだよ、今いいとこだったのに。負けそうだったじゃん」
そう言って電話を出る。
「そんな言ってるけどオールしたんでしょ? 何度オールはダメって言ってるのに。せめて4時間でも寝てください、煜さん」
「だから、『さん』は要らないって言ってるのに」
いつもみんなに優しくしているイケメン攻略キャラの一人。
メインの攻略キャラゆえ人気も高い。家は貴族だがなぜか仲良くしてもらっている。
本来ならヒロインや高位の人間以外は立ち入ることができない領域の一つである。
あのワイワイしてる中に入ればたちまち親衛隊やファンクラブに殺されること間違いなし。
「それを許せないのがいるからでしょう、主人公としては許されるかもですけど……僕の上司なんか特にダメって言われてるんですから」
「そう言われてもなぁ、誰もみてない訳だし。いいじゃん、じゃあまた学校で!」
ツーツーツー……。
「あぁ、切られた」
こうやってすぐに電話を切ったりするのってダメなはず。
煜さんの学校でのお世話係になってから早5年、幼馴染としてガンバってきたはずですが。
こんなお転婆というか、だらっとしているのはみんな知らないんだろうな。
それもそうだ。
煜はいつでもイケメン攻略キャラなわけではない。
オフな時は好きなソシャゲをやりまくって無事爆死。
俺のガチャには星5がいないんだァ、とか言って主人公のグループで話してるのが日常。
僕にガチャを引かせるといいものが出過ぎて何故ダァとか言って泣きついてくる。
なんか昔から面白い人だ。
その後この世界の唯一のヒロインでありこの世界の主人公【
稀に凄いことを成し遂げる、悪い意味でね……。
この世界での正統派ヒロイン。でも意外にも可愛いより少しボーイッシュ系の女の子だ。
髪はピンクで、さらさらのボブ。
いつも制服はスカートなのだが稀にショートパンツの場合がある。
そして主人公の大好きな女の子だ。
でもなんか女の子なのか? って思う時もある。
「なにー? 今ご飯食べてたんだけど」
「ご飯は結構ですが、何を食べてるのですか?」
「え、新しく発売した菓子パンだけど。この甘さがいいんだよぉ〜」
「……はぁ、なんで菓子パンなんですか? せめてご飯と味噌汁くらいは食べて貰いたいですね」
「料理台に立っていいのならやるよー! 頑張ってみたいし♪」
「やめてください、前にやった時は負傷者が出てしまったでしょ? あれはもう毒ですよ。……まぁ、デバフ付いている時点で毒となんら変わらないですけど」
そう、
もう少しで天国に登りそうだった。(経験者は語る)
「ぶー、なんでさー。あれちゃんとシチューを作ったんだけど、黒くなっちゃうんだよー。……まぁいいや、じゃあねー」
「はい、また学校で」
シチューを黒くするのは染色するとかやってもできない気がしますけど。
こんなにヒロインなのに料理する技能はもらえなかったんだな。
ヒロインでも出来ないことはあるからしょうがないんだけどね。
いつもこうやったルーティンを送っている。
こんな他とは少し違う様な毎朝を送り、学校へと向かうのだった。
======
遥か世界の上側。世界を見守る人がいた。
ギリシャ神話の神々のような見た目の男とアロハシャツを着た男。
この世界を見守っているようだ。
「順調に世界を
「まぁ乙女ゲームに近くなっているんじゃないっスか? 玄之くんはまだ記憶戻ってないのが痛いっスけど」
「そうだな、他の転生者も順調にやっているみたいだし……僕の黒子として頑張って欲しいな」
この世界には転生者がいた。
それは18歳になるまで記憶がない、玄之もその一人であった。
それを玄之が知る事はないがこの先どうなるのだろうか。
まだ神様でさえ分からない。
==========
読んでいただきありがとうございます。
面白ければ★★★、面白くなければ★。
♡もつけていただけると幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます