第5話 動画撮影


 みなさんは、動画を撮影されたりしますか?

 僕はビデオカメラで、子供の行事などを撮影するぐらいです。


 一時期、子供がなりたい職業は「YouTuber」が1位でしたね。

 今も人気なのかもしれませんが……。


 動画撮影するにしても、色んなやり方があると思いますが。

 ここでも、スマホを扱われる方が多くなりました。

 軽いしポケットに入る。持ち運びやすいサイズですからね。


 あと、最近はショート動画というものが流行っているようで。

 繁華街を歩いていると、たまに手足をブンブン振って、一生懸命踊っている方を目にします。

 ただ見ているこちら側には、音が伝わってこないので驚きますが……。


 ある日、僕が繫華街のゲームセンターを歩いていた時のことです。

 ふと、ベンチに肩を並べて座っている、二人の女子高生が目に入りました。

 なぜかと言うと、そのファッションが奇抜だったからです。


 たまに見るのですが、どう考えても本物の制服せいじゃないだろう……と思えるぐらい生地が薄い。

 なんちゃってセーラー服を着ている子を見ます。

 多分コスプレだと思うのですが。それに高校生にしては化粧もバッチリしているし。


(双子コーデというやつだろうか?)


 そう思いながら、その二人の後ろを通り過ぎようとした瞬間でした。

 女の子のひとりが自撮り棒を持ち上げ、スマホをこちらに向けました。


「いえ~い!」

「ぴ~すぅ!」


(いかん! 動画の撮影中みたいだ……このままでは、おっさんの僕が映りこんでしまう)


 そこから、すぐさま離れようと思いましたが……。

 

 この瞬間、僕は思った。


(いや、彼女たちは僕も一緒に撮影して。バズりたいのだろう)


 今までの前科を考え、僕はその場で腕を組み、撮影が終わるのを待つ。

 ただしっかりアピールだけはしておくべきだと思い、肘の上でピースしておいた。

 ”未来の息子”へ別れの挨拶をする、”王子さま”のように……。

 

「あれ? なんか知らないおじさんが映ってない?」

「うわっ……控えに言ってキモっ」


 後日、身元が判明した僕は通報された。

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