第10話 二体目の悪魔
「戦える奴が良いよな。荒れきった終末世界で、商売みたいな事をするんだし、俺達がなんで大量に物資を持ってるのかとか、奪っちゃおうとか考える奴が出てくるはずだ。そういう馬鹿共をある程度跳ね除ける力が必要だ」
「それでいて、ある程度人と付き合っていける悪魔が良いでしょう。悪魔によっては人間を毛嫌いしてる悪魔もいますので。召喚主である遥人様の命令には従うでしょうが、悪魔は基本的に自由で傲慢不遜ですからね」
アスモデウスと相談しながら、悪魔召喚リスト眺める。知ってる名前は結構いるけど、どんな悪魔かまでは分からんな。
元々持ってる権能がスキルに変わるらしいけど、それはアスモデウスもどうなるか知らないみたいだし。
「はえー。アスモデウスを見てたら忘れちゃうけど、その辺はしっかり悪魔なんだなぁ」
「私はある一点を除けば扱いやすいタイプの悪魔だと思いますよ」
「ある一点?」
「はい。性欲です」
「おおふ…」
そんな明け透けに言わなくても。まあ、俺もそうだろうなと思いつつ、ムフフな展開を期待して選んだんだけど。
この二年、そういう関係にはなってないけど、偶に熱視線を向けられてる気はする。俺はいつでもウェルカムなんだけど、これはこっちからアクションをかけるべきなのか。
てか、悪魔と人間ってそういうのが出来るのか。素人童貞の遥人君にはちょっと難しい問題である。
それはさておき。
「ベリアルなんかはどうですか? 女癖が悪い悪魔ですが、戦えますし弁も立つ悪魔です。今の状況にはうってつけの悪魔だと思いますが」
「ベリアルかー。カッコいい名前だな。聞いた事はある」
案の定どんな悪魔かは知らんが。
女癖が悪いって点は気になるけど、アスモデウスのおすすめだし、二体目の悪魔はベリアルにしよう。
アイテムボックスの中から貯めていた魔石を取り出して、ジャラジャラとステータスボードに突っ込む。
能力強化にも使ってるからもう慣れたけど、ステータスボードに魔石が消えていくのは不思議だ。最終的にこれに突っ込んだ魔石はどこに行くんだろうね。
「魔力大丈夫かなぁ」
「そればかりはなんとも。しかし前のように三ヶ月も気を失うという事はないと思いますよ」
俺の魔力量はかなりものらしいけど、それでも悪魔召喚には大量の魔力が必要だ。また長期間気を失って、リハビリしてーは時間が無駄すぎる。一応、気を失った時の事を考えて色々と決めてあるけど。
「もし俺が気を失ったら、ベリアルと相談して計画通りに頼むな」
「かしこまりました」
そして悪魔召喚ボタンをぽちー。
俺は意識を失った。
☆★☆★☆★
「……うん? 君は…アスモかい?」
遥人が気を失った直後。
そこまで大きくない遥人の部屋に、びっくりするほどの美男が召喚された。
「久々に会いましたね、ベリアル」
「これは…。なるほど、そういう事か。彼が召喚主かい?」
「ええ。遥人様です」
召喚されたベリアルはベッドで眠っている遥人をマジマジと見る。
「男…か…。まあ、力を取り戻してくれるんだ。わがままは言えないね」
「相変わらずですね」
遥人を見て少し残念そうな顔をしたベリアル。召喚主が男だったのが、少し気に入らなかったみたいだが、すぐに切り替える。
「既にスタンピードは始まってるみたいだね。この世界でも初動での崩壊は防げなかったかい?」
「ええ。ダンジョンは上手く利用出来れば富をもたらしますが、とにかく序盤が厳しいですからね。こうなるのは既定路線です」
アスモデウスはインスタントの紅茶を淹れながら、ベリアルと情報交換をする。美男と美女が紅茶を嗜むだけでとても画になる。
「それで? 今回の召喚主はどういう考えなんだい?」
「今回の私達の強化手段は魔石です。なので、魔石を効率良く集める手段を構築しようとされてますね。具体的は--」
アスモデウスは遥人と相談した冒険者ギルド創設案を語っていく。まだまだ粗がある案だが、混乱して法律もまともに機能していない終末世界になったのだ。
最初は苦労するが、軌道に乗れば確かに効率良く魔石を回収出来るシステムになっている。
「中々敵を作りそうなやり方だねぇ。細々やるなら問題ないだろうけど、規模が大きくなれば、必ず邪魔してくる人間や団体が出てくるよ」
「当然それも織り込み済みです。ですが、魔石を集めれば集めるだけ、召喚主である遥人様が有利になりますし、悪魔である私達も同様です。こういうのは競合が出てくる前に始める必要があるのです」
「まあ、それもそうだね」
その後も冒険者ギルド創設に向けて、色々と話し合うアスモデウスとベリアル。
話が一段落したところで、アスモデウスが話を変える。
「それよりもベリアル」
「分かってるよ。君が遥人に僕を推薦してくれたんだろう? ちゃんと向こうで便宜を図るさ。最終的な事はさておき、早めに召喚されるに越した事はないからね」
「分かってるなら結構です。それと遥人様ですよ」
少し意味深な会話を交わし、二人は遥人の目覚めを待ちつつ、色々と準備を進めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これで今章は終了です。
お疲れ様でした。
さっさと話を進めたくて、少し駆け足になってしまいましたが、如何でしたでしょうか?
次章はギルド創設に向けてなんやかんやする予定です。
ではではまた次章で。
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