1-28:魔物たち
「アルム様っ! 『操魔剣なぎなた奥義昇竜』!!」
あっとか思っていたらマリーの叫び声がして馬車が大きく揺れてなぎなたを持ったマリーが飛び上がって襲ってきたグリフォンに斬りつける。
「うわっ!」
エイジはその場で尻もちを付くけど、問題はその後だった。
マリーが斬りつけて排除したグリフォン以外にもまだたくさんのグリフォンが空から襲ってきたのだった。
うーん、これヤバいやつ?
私は周りに常に防壁を展開しているからそうそう問題はないけど、エイジがやばい。
それと慌ててこちらに来ようとするカルミナさんにも二匹グリフォンが襲いかかっていてすぐにこれない。
アビスは……
あいつ、こちらに向かって何かしようとしているも私がいるからすぐに手が出せないでいるな?
ん~、このままじゃまずいね。
仕方ない。
私は手を上げてイメージをする。
そしてそのイメージに魔力を注ぎ込み、力ある言葉を放つ。
「行け! 【火球】ファイアーボール!!」
ボンっ!
ボンボンボンっ!!
ボボボボボボボボっ!!!!
一度に数百のファイアーボールを出して一匹につき数十発のファイアーボールをぶつける。
逃げるやつにも追尾したファイアーボールが着弾してあちらこちらで大爆発が起こる。
どっか~んッ!!
どどっか~ん!!!!
「うおっ!? 意外と爆発力大きい!? 【絶対防壁】!!」
思い他に爆発力が大きいのですぐにみんなに向かって【絶対防壁】を張ってやる。
この魔法が物理と魔法に対しての絶対的な防御を行う。
その代わり、防壁展開時はこちらから物理攻撃と魔法攻撃が出来ないらしいんだけど、私の場合、魔力をその防壁の外側に集中させると魔法が発動する。
多分、直接【絶対防壁】を介してだと通らないからだろう。
爆発は周辺の木々や地面もえぐり、この一帯の風景を変える。
あっ、もしかしてやり過ぎた??
「アルム様ぁっ! ご無事で!?」
しゅたっ!!
でもそんな爆風の中、マリーが私のすぐ横に落ちて来る。
どうやら最初のグリフォンは仕留めたようだ。
「どこかお怪我は!?」
抱きっ!!
「むぐぅっ!」
マリーはなぎなたを手放し両手で私を抱きしめる。
だからあなたのデカい胸のせいで呼吸困難になるっての!!
マリーに抱きしめられてた私は無理矢理顔をマリーの胸から顔を出して呼吸をする。
が、その私たちの上にまた影が覆いかぶさる。
しまった、まだいたか?
しかしマリーが私に抱き着いているので狙いが定められない。
こうなったら【絶対防壁】を展開して……
「我が主への狼藉、許せん!! 滅せよ!!!!」
まるで怒気の塊のような気配がして私たちを覆う影が消えた。
同時にその怒気が影と一緒に後ろの方へ着地した途端、黒い雷がバチバチと周辺を焦す。
どん!
バチバチバチバチっ!!
何とかそちらを見れば、アビスがすごい形相でグリフォンの首を掴んだまま地面にたたきつけ、体から黒い雷を発してグリフォンを焼いていた。
あまりのすさまじい力にグリフォンは悲鳴さえ上げられずにその場で燃え始め、消し炭となるのだった。
「我が主よ、お怪我は有りませぬか?」
「アルム~、大丈夫かニャ??」
マリーに抱きしめられた私はやっとマリーから放されて周りを見る。
うん、大惨事。
私が張った【絶対防壁】のお陰で護衛の者や馬車、馬たちなどはみんな無事。
しかし周辺は完全な焼野原。
かろうじて残っている木だった物はぶすぶすと煙を立てて真っ黒になっている。
エイジも腰を抜かしアワアワと震えている。
向こうでは馬車から慌ててアマディアス兄さんがこちらにやってきている所だ。
「とりあえず、みんな無事のようだね?」
周りを見渡してほっとする。
誰もケガしてないし、みんな無事の様だったし。
「ア、アルムぅ~、おまぇ~」
涙目のエイジに近づき手を差し伸べる。
「もう大丈夫だよ、みんなが守ってくれたからね(棒読み)」
「嘘つけ! お前だろあんな大魔法使ったの!!」
うんしっかり見てたのね?
まぁ、緊急だったから仕方ないけど。
「アルム! 無事か!?」
「あ、はい、アマディアス兄さん。それよりグリフォンの群れが発生するなんて、マリーの話だとまだ時期じゃないんでしょ?」
「はい、この時期にはぐれのグリフォンはいたとしても群れで襲ってくるとは……」
マリーはなぎなたを持って周りと空の警戒をしている。
しかし流石にもういないみたい。
と、カルミナさんが何かに気付く。
「誰かいるニャ!」
「くっくっくっくっくっ、もしや我が主にグリフォンをけしかけた輩ですか? ちょと殺してきましょうか?」
動き出しそうなカルミナさんとアビスを慌てて止める。
「ちょ、ちょっと待って! 殺しちゃダメ!! それとカルミナさんその気配ってどっち?」
「むこうニャ」
カルミナさんはそう言って道の先を指さす。
うーん、まさか私を狙った刺客の後続?
「じゃぁ、そいつらを捕らえて来てよ。殺しちゃだめだからね?」
「御意!」
「分かったニャ!!」
私がそう言うとアビスとカルミナさんはすぐにそちらに向かって走り出すのだった。
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