未来のない未来
ラグランジュ
第1話 未来のない未来(一話完結小説)
希望を持てなくなった世界でどうすれば生きる証を見つけるんだろう。自然災害、人災、通貨危機。
この先のことは解らない。
見つけることは出来そうもない。
幸せはとっくに過去に置いてきた。
こんな世界に絶望と言える地球規模災害が起ころうとしている。新たに発見された彗星だ。
この彗星の軌道は変えられない。あまりにも大きいのだ。最初に木星付近を通過する。
過去にもあったが木星に衝突する映像を見たが、あの大きな木星に衝突して広がる衝撃波。
地球に同じことが起こったら、全てが終わる。
今地球に衝突する彗星は過去最大の大きさとなっているそうだ。間もなく発表がある。
全てのチャンネル、同時通訳、全世界で放送されることになっている。この間は全ての業務停止。信号や船舶、航空機、鉄道、警察、消防含め世界中で全外出禁止令が出されている。
違反者にはそれぞれの国で編成された国家治安特殊部隊により逮捕権及び終身刑が言い渡されている。とんでもない重罪とのことだ。
全ての都市がゴーストタウン化に。
国家治安特殊部隊もドローンを使い監視するため人の姿はない。
これは事前に数ヶ月かけて計画されていたのものであまりの重罪に人々はおそれ予定より早く外出禁止を自ら実施してる。
このような事態になっても僅かに私利私欲のため反対した人々も少なくなかったが全員逮捕された。
もちろん犯罪者ではないため短期間拘束という意味だ。それにしてもこの事態で私利私欲のために動く人がいるとは驚きだ。
世界中同時放送はそれほど重要なことなのだ。
これが最後の放送になるのだから。
ここに来てようやく人々は世界は強く結ばれた。
本当はもっと早くこうなれば人災も防げたのだろうに。皮肉なもんだ。
※【全世界同時緊急放送です。自宅でテレビ📺が見れない場合はラジオ📻を付けてください。どの周波数帯でも聴くことが出来ます。どちらもない場合はお渡しした専用スマホでご確認ください。それではこれより放送を開始します】※
※【こちらは国際危機対策機関を代表して発表いたします。地球🌏に衝突の可能性…訂正…衝突する彗星が軌道を変えることが無ければ後5日となります。最初の衝突は太平洋※※の※※※※※※※※※※※※…】※
後5日ということだ。その報告のみだった。
手立てはないということだ。
ここで地球🌏は終わりを告げる。引き続き今後の対応について報告があった。
※【それでは放送は終わります。これがこの地球最後の放送となります。この放送を伝えられたことに誇りを持ち最期を迎えることにします。人として、この地球🌏に生きてきた証として最後まで人としての思いやりを、誇りを、捨てないでください】※
ここで全ての規制が解除された。不思議と治安に不安は無い。人としての誇りを持ち合わせているようだ。
起きなかったはずの人災、防げたはずの災害、この誇りを持つ英雄達が最初からいたら地球🌏の運命すらも変わっていたのかも知れない。
今更何言って遅いが、つくづくそう思う。
素晴らしいことに、店を営業する人々も少なくない。ほぼボランティアだ。善なる行いが救いになるとの想いだろうが立派だ。
生まれてきて間もない人々、年老いて寝たきりの人々、働き盛りの仕事人間。たくさんの人々それぞれの立場や生きがいがあったはず。
共通して言えることは、世界の終わりは決まった。その確定的な未来が近づく。
家族のもとに帰ろう。何故外に出ていたのだろう?ただ、じっとしていられなかった。
子供の頃、遊んでいた公園や登校していた道を歩いてきたんだ。何故そんなこと?
この地球🌏に生まれ、生活して来た記憶を残したかったんだ。
この空は快晴だ。空を見ながら深呼吸。
家族のもとに帰って、最初の言葉はおかえりなさいだった。その言葉に、愛する人を強く強く抱きしめる。
間に入り込もうとする、末っ子とペットの🐕
どうもヤキモチなのか?引き離そうとしてる。🐕の気持ちは解らんが?
もちろん同じように🐕抱きしめて、何故か噛まれた…
長女も呆れた顔して、玄関に。
思わず抱きしめる。俺達はこうやって愛する人と出会い、見つけて、結婚して。でもこの子供達はその経験も出来ないんだ。
長女は大人しくしていたが、突然突き放された。
どうも汗をかいていて、抵抗あったらしい。
末っ子とペット🐕を抱きしめて、同じく突き放される。そして、🐕には噛みつかれる。
部屋から見る景色、海のそばに住みたいと希望を聞いてくれた家族に感謝する。
家族で海に行こう。
小説を読もう。
ゲームをしよう。
勿体なくて考えるより行動だ。
俺の家族になってくれてありがとう。
なぁ、よく考えれば幸せなのかもな。
自分勝手だが、本当に勝手な言い分たが、みんなとの別れは無いんだ。
同じなんだ。何もかも。
みんなで終わるんだ。この世界で…
辛い思いをしなくて済むんだ。
この海を、見ながら少し安心した。
さようならは言わないで済む。
言われなくて済むんだ。
ここに太陽系の惑星、地球🌏が消滅した…
【お父さん、起きてよ~】
あれ?
【もう、子供達との約束は忘れないでよね】
んん?
※【ワンワンワン!!キューン】🐕※
そうか!!約束していたな。ペットも入れるアミューズメントパーク。一緒に行こうね🐕も。
【ごめん、ごめん。準備するよ。さぁ楽しむぞ!!】
夢だった…でも、いつ何が起きても不思議でない世界なんだよな。今を大事にしないと。
………………………終わり……………………………
ご愛読ありがとうございました。
未来のない未来 ラグランジュ @space-time
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます