着信履歴のないメール
天川裕司
着信履歴のないメール
タイトル:着信履歴のないメール
イントロ〜
あなたはメール友達がいますか?
それとも、もっと踏み入って恋人がいますか?
でも状況からその人が「ヤバい人」となることもあるようで、
いつでも冷静な心を持っておく事は大事と言えそうです。
メインシナリオ〜
私の名前は田津井 紀子(たづい きこ)。
今年、20歳になる女子大生。
私には今、大好きな人がいる。
彼の名前は伊庭弥人(いば やひと)君。
私と同じ大学に通っていて、彼はとてもハンサム。
心も優しくて、いつでも女子にはモテモテ。
私は器量があまり良くなく、どちらかと言うと地味子で、
なかなか彼に気持ちを伝えられないでいた。
でもそんな時、彼の方からアプローチしてくれたんだ。
紀子「え!?」
弥人「そ、そんなに驚かないでよ。俺、前からずっと君のことが…」
なんと彼の告白。私はもう天に昇るほど嬉しかった。
その日から、私たちは付き合い出した。
ト書き〈転機〉
でもそうやって誰かと付き合い出したら、
妙に心に余裕ができるのか。
私はこれまでのようにギスギスしたところや
焦りのようなものがなくなり、
それが男の子達には何だか魅力的に見えたようで、
私の周りにそれまで寄ってこなかった男友達まで
寄ってくるようになり…
紀子「私ってこんなにモテたっけ?」
なんて勘違いするほど、私の生活は一変し始めたのだ。
幸太「紀子ちゃん、今度一緒にご飯食べにいかない?奢るからさ♪」
同じクラスを取っていた幸太(こうた)君から
ある日そう言われディナーに誘われた。
幸太君も私が弥人と付き合ってるのは知ってる。
知った上でそうやって誘ってくれて、
ただ友達としてもっと一緒に遊びたい…
その気持ち1つで居てくれたようだった。
(喧嘩)
でもその事が弥人にバレちゃったみたいで…
幸太「そ、そんなこと言ってねぇだろ!」
弥人「うるせぇ!俺の紀子に手ぇ出すんじゃねえよ!」
紀子「ちょっとやめてよ!ああっ!」
幸太「ぐはあ!」(弥人に殴られる)
弥人は一方的に幸太君を責め、殴り飛ばした。
紀子「や、弥人!なんて事するのよ!」
弥人「うるせえ!お前はこっち来い!」
幸太「うぐぐ…」
弥人「いいな幸太!もうこいつに近づくんじゃねえぞ!もしこれ以上何かやったらてめぇ、只じゃおかねえからな!」
まさか弥人が、こんなに所有欲の強い持ち主だったとは。
こんな無茶をする人だったなんて思わなかった。
これまではホントに優しかったのに…
ト書き〈仲直り〉
それから数日後。
弥人「…ごめんな。あの時の俺どうかしてたよ…」
弥人はそれから少しして、幸太君と私に謝った。
なんでも自分のプライベートで少し上手く行かなかった事が多かったらしく、それで気が立ってて、
つい八つ当たりするように幸太君に絡んでしまったらしい。
弥人は土下座するほどの勢いで私と幸太君に謝り…
幸太「もういいよ弥人。俺もお前らが付き合ってんの知ってて彼女を誘ったのは、ちょっと考え足りなかった。ごめんな」
2人は仲直りして、幸太君はもうその後、
気楽に私を誘ったりはせず、また弥人も
感情で人を傷つけたりなんか絶対しない、
と誓い合っていた。
まぁちょっといろんな事が一気に起きたので
気持ちの整理がつかないところもあったけど、
とにかく仲直り出来て良かったと思った。
ト書き〈又トラブルからオチ〉
でもそれから数ヵ月後。
また信じられない事が起きたのだ。
信じられない事…と言うか恐怖だった。
あれから弥人はちょくちょく私にメールをくれるようになっていた。
「多分、私を監視するため?」
そんな気持ちになった事も確かにあったが、
彼は彼なりに私の周りに気遣っていた、
心配していた、そうなんだろうと思い、
その事については余り深く詮索しなかった。
あれから私の周りには変わらず
男友達が戯れるようになっていて、
幸太君の姿はなかったけど、
他の友達が同じようにして集まっていた。
食事や遊びに誘ったり…なんて事はなかったけど、
それでも親しげに話してるのを見たとき、弥人は
やっぱり余り良い顔はしなかった。
そして私の家にある日から、男の人が来るようになったのだ。
それは私の幼馴染で、ただ近くに引っ越してきたから
家族ぐるみの付き合いもあり、一緒にご飯を食べたりしていただけの事。
恋愛感情など全くなく、その幼馴染の方にもちゃんと彼女が居り、
私たちは本当にただの古い友達だった。
でも弥人にとっては、やっぱり心配だったんだろう。
仮にも男と女だ。
(メール)
そんなある日の事。
その日、幼馴染がまた来る予定になっていたけどその予定が変更されて、
私は女友達と一緒に温泉旅行に行っていた。
その日はどうしても用事で、両親が他府県に行かなきゃならなくなってしまい、
それで家に誰も居ないので予定が変更されたって感じ。
紀子「たまにはこうやって、女子だけで行くのもやっぱり楽しいなぁ♪」
なんて思いながら帰ってきた。
両親はまだ帰ってない。
私は自分の部屋に上がり、パソコンをつけ、
いつもやってたSNSを見ようとした。その時…
紀子「ん?電子メール?」
パソコンの電子メールに何件かのメールが来てるのに気づいた。
紀子「なぁんだ。弥人からか♪」
いつもの他愛無い話で、別に人に言わなくても良いような事をメールで送ってきている。
紀子「これも心配だから送ってきてんだよね。そんなに心配しなくていいのに♪」
弥人とは携帯のメールとパソコンのメール、
あとビデオ電話などでも連絡交換したりしていた。
メールの着信履歴を見ると、私が温泉旅行に行ってる
昼ごろから3〜4件入ってたみたい。
紀子「クス(笑)」
まぁこうやって連絡をくれるのは嬉しい。
でももう1件メールが来ていて、
そのメールは着信履歴がなかったのだ。
解説〜
着信履歴がないというのは
下書きに保存されていたという事。
下書きに保存できるのは、そのパソコンのユーザーだけ。
紀子がその時パソコンを使ってなかった以上、
そのメールを保存したのは、
その時パソコンの前に立っていた人物となる。
そしてメール内容は、弥人から紀子へのもの。
つまりそのメールを保存したのは弥人。
弥人はいつの間にか紀子の部屋に侵入していた。
その日、紀子も紀子の両親も居なかったから
弥人にとっては好都合。
理由は幼馴染。
所有欲が強い弥人は、紀子とその幼馴染の関係を見張るために侵入していた?
紀子からその日の予定を
あらかじめ聞かされていたのだろうか。
居ても立っても居られなくなった弥人は、
その日、紀子の自宅まで行き、
ちょうど紀子と紀子の両親が居なかった事から
これ幸いと侵入し、後先省みず、
紀子の部屋でじっと待っていた。
弥人はもともと異常性の持ち主。
その弥人が今、居る場所とは…?
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=fsr9YpWIl4g
着信履歴のないメール 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます