2ー3
PM 5:00 札幌市営地下鉄 南北線 平岸駅
改札を出で地上に上がり、美生を探す。彼女がまだ近辺にいないか、駅前の近辺を探し回る。
すると、人混みの中に、黒のスーツを身に纏ってた白髪の少女が、銀行の前で立っていた。
私は、足早に彼女に接近する。
「美生。ここで何をしてるんだい? セシリア達が、君を心配していたよ」
「あんたか。そんなの知ってるっつうの。それで? あんたも私は連れ戻す気?」
白美生の反応に、私は首を傾げる。セシリア達が先んじてきたのだろうか。
「セシリアが来てたのか?」
「いや、あんたと顔が似てるやつよ。さっきあんたが言ってたこと同じことを言いやがったわ」
「まさか、明日香か?」
私は、先に来ていた来訪者が誰かが察し、驚きを隠せないでいる。どうやら、私が探している間に美生と接触していたらしい。
しかしなぜ彼女が来ていたのか? でも、今は考えないでおこう。
「どうして、彼女がここに?」
「そんなの知るわけないでしょう? まぁ、今の私には関係のないことよ」
白美生は、ぶっきらぼうに言いながら、煙草を吸い始める。彼女はスマホを見ながら、私の方に振り向く。
「詳しい話は、明日するわ。あんたが1人になるいつもの橋に朝イチで待ってる」
「――――――わかった。ただ、言ったからには必ず来い。私も、君には話しておきたいことが山ほどあるんだ」
私がそういうと、白美生はその場を去る。私は彼女を見送ってると、電話がかかって来た。
「もしもし」
『もしもし。アル、私よ』
「『
電話に相手は、『
『今どこにいるかしら?』
「平岸だ。例の連中に襲われてね。戦っている内に、ここまで来てしまったよ」
『まぁ、それも込みで後で聞かせてもらうわ。それより、今から私の工房まで来れる? あなたに伝えておきたいことがあるわ』
『
「了解。今から引き返すよ」
『えぇ、頼むわね』
『
そこから数分かけて移動し、私は『
「待ってたわ、アル。もう少し遅いと思ったわ」
「それ良かったよ。退屈させちゃ、こっちが悪いものね」
『
「珍しいな。君が紅茶を淹れるなんて、
「もう1000年も前の話よ。あなたも『英仏百年』は知ってるでしょ?」
「学院にいた頃に学んださ。それより、話って何?」
私は早速本題に移る。すると、『
「これは?」
「前に見せたタブレットよ。面倒な事が起きそうでね。改めて見てほしいの」
「面倒な事? 一体、何が?」
『
「『転移術式』について、厄介なことが起きそうなのよ」
「どういうことだ?」
『
「転移者を呼び出して戦力を増強しているのは、もう知ってるわね?」
「あぁ、もうその辺のものは目に通してるよ」
「なら、説明は不要ね。実を言うと、相当面倒なことが起きかねないわ」
『
「近いうちに、咎人と化した魔術師が一斉に放出される可能性が高いわ。そして、それに乗じて、『コノートの戦士』が攻めてくる事も考えられる」
「何だって!? 挟み撃ちを練っているのか!?」
「古い戦い方だけど、合理的な考えね。どちらに戦力を集中させても、こっちが力尽きて負けるわね。それに、件の転生者も中々強かったんでしょ?」
「そうだね。特に『フェルグス・マック・ロイ』は危険だ。彼女に助けてもらわなかったら、一溜りもなかったよ」
私は煙草を吸い始める。そして、『
「そうなら、分散するのはそうかしら?」
「分散? それは難しいだろう? リリィは極力動かれないんだ。それは難しいぞ」
「あなたが立案すればいいのよ。あれと縁があるあなたなら、簡単でしょ?」
私は、ため息を吐きながら、状況を理解した。リリィを動かすトリガーは、私にあるらしい。
そう思いながら、紅茶を飲み干した。
「中々美味い茶葉だ。こんなのも持ってたの?」
「いいえ。『
「なるほど。相変わらず、金遣いが荒いな」
「全てはあなたの為よ。来るべき日のためにね。正直言うけど、こんなことしている暇はないわ。でも、あなたは見逃さないんでしょうね」
「来るべき日か。なら、その為の潤いを消すしかないな」
私は、煙草を吸い切り、立ち上がる。
「『
「えぇ、また何かあったら連絡するわ。アル」
私は、『
工房を出ると、セシリア達に連絡をする。
「私だ。今時間ある?」
『あなたが連絡するなんて、珍しいわね。でも、今日は難しいわね。これから忙しいのよ』
「そう。明日ならどう?」
『そうね。明日なら問題ないわ。私だけ、事務所に向けばいい?』
「いや、リリィも連れて来てほしい。大事な話があるんだ」
『わかったわ。明日、議長も連れて行くわ。あなたが急用があるって言えば、彼女は行くわ』
私は要件をいい、そして電話も切る。解体されたラフィラの方を見上げながら、煙草を吸う。
こうして、私は事務所に帰るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます