幼馴染みといちゃラブになるためにパンツゲットの道を究めます!
ヴォルフガング・ニポー
第0章 芳昭覚醒編
第1話 幼馴染みが大好きだって気づいちゃいました
真新しい制服は取り立ててかわいいとかでもないのに、鮮やかな陽光の下で振り返った
彼女は幼馴染みだ。
家がすぐ近くで、保育園の頃からいつも一緒に学校に通っていた。
「よしくんが受けるなら、私もそうしよ」
そう言って同じ高校に通うことになったのだが、それも別に何とも思っていなかった。
だって、あまりに一緒にいるのが当たり前だったから。
天真爛漫な透子。
長い髪を後ろでくくって、明るい笑顔がよく似合う。
そんな彼女が楽しそうに話しかけてくれる。
それがどれだけ幸せなことなのか不意に気づいてしまうと、どうしようもなく胸が締めつけられる。
幼馴染みという単語には、独特の甘い響きがある――。
◇◇◇
「うぎゃあああああああ!!!!」
僕は布団の中で悶え苦しんでいた。
告っちゃう?
好きって言っちゃう?
だど、だけど……!!
「うぎゃあああああああ!!!!」
「
部屋の外から母ちゃんが怒鳴ってくる。
そりゃ冷静にいられたら自分だっていいに決まってるけど、母ちゃんだって俺と同じ頃はこのどうしようもない衝動に制御不能になったことがあるだろ?
あああ、好き好き好き好き好き!!
なんとなくOKしてくれそうな気もするけど、でも、でも!
断られたらマジで死ぬ!
そばに透子がいない生活なんて考えられない。
考えたこともない。
それだけにとてつもない恐怖がある。
自分が行動してしまった結果を考えると、僕は布団の中で震えるしかなかった。
「よしくーん、学校行こう」
「芳昭、透子ちゃんが迎えにきたわよ」
はうあ!
どうしよう、どうしよう。どんな顔して会えばいいんだろう?
さんざ逡巡したが、結局普通に学校に行くことになった。
透子を隣に歩いている最中の記憶がない。
◇◇◇
学校から帰って僕は自己嫌悪に陥った。
なんだか透子のことを好きでいることが悪いことであるかのようにさえ思えた。
「うう……どうしたらいいんだろう」
こういう時、漫画とかだと友達に相談したりしてたな。
それも手かもしれないけど、他人に話すなんてまだできないよなぁ。
そんなことをぶつくさと思いながら、飼っているハムスターのケージを覗いた。
「おーい、カール。あれ、今日はおとなしいな」
背中の毛が妙にカールしているのでカールという名前にした。
こんこんとケージをたたいてみても反応がない。いつもならガジガジとかじったり穴を掘ったりしてるのに。
寝床をあさってみると、カールは冷たくなっていた。
小学校のときから飼っていたから、もう寿命だったのかもしれない。
「カール、ずっと独りぼっちで生きてきたんだな……」
ハムスターは多頭飼いすると共食いすると聞いて、ずっと一匹だけで飼ってきた。だけどそのせいで、ずっと誰にも会うことなく生きるしかなかった。
なんだかすごく悪いことをした気持ちになった。
「僕に飼われてなかったら、いろんな仲間と出会えてもっと楽しく過ごせたんだろうか」
そのときだった。
手のひらの上のハムスターに突如謎の光の塊が降ってきた。
「うわ!」
僕は尻餅をついてしまった。
「ふむふむふむ……あっあー……」
死んだはずのカールがなんと背伸びしたのだった。しかもおっさんっぽい声を出しながら。
「えええ?」
「よう、芳昭」
「え? カール?」
「そうだ、俺様はカール。死んだはずだったが、異世界の魂を受けることで蘇った」
「は? どういうこと?」
「まあ、とりあえず俺様は生き返って人間と話ができるようになった。それでいいじゃねぇか」
「あ……まあ」
「へへへへ、話が早くていいや。俺様は芳昭のことが心配で死ぬに死ねなかったんだよ」
「なんで?」
「お前、透子のことがずっと好きだったんだろ? 俺様はお前らがつがいになるのを楽しみにしてたんだ。そして急に好きだと悩み始めたら俺様の寿命が来ちまった。」
透子はうちに来るとよくカールをかわいがっていた。
「俺様は死にたくねぇと叫んだ」
ハムスターも叫ぶのか。
「すると、神という存在がいきなり現れた」
「か、神?」
「よくわからんが、とにかく芳昭と透子の行く末を見守らせてくれと頼んだ。そしたら生き返らせてくれた」
「そ、そうなのか。すごいな……でもせっかく生き返ったっていうのに、僕はその……自信がないっていうか……どうしたらいいかわからないんだ」
「ああ、それはわかっている。だがな、芳昭。お前が透子を捕まえとかないと、他の誰かが連れて行っちまうかもしれないってことだぜ」
「あう! それはそうだけど……もし、付き合ってくれって頼んで断られたら、今までの関係がぶっ壊れちゃうよ。そんなの絶対に嫌だよ」
「……まあ、そういう気持ちもわからんでもないが」
カールは露骨につまらなそうな顔をし、小さな手をあごにそえて考え込む仕草をした。
「実は俺様を生き返らせた神は恋愛成就の神だと言っていた」
「え、そうなの?」
「奴の力を借りれば、100%で恋愛が成就するのだという」
「すげー」
「どうすればいいか知りたいか?」
「知りたい、知りたい!」
そりゃ、告って100%でOKが出るならそれがいいに決まっている。
「それには捧げものが必要だ。それをあの神に捧げれば恋愛は成就するということだ」
「捧げもの?」
「そうだ、美人のパンティ五枚だ!」
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