鉄則の進言

幻想休日

真実と言うにはまだ

言及の最中

迷い戸を見た

月影に揺れうごく普通の車道

それに相違ない人々の身支度


死は最も決意を必要とするだろう

しかし生は、それ以上に罪深くなるだろう


人は誰しも

心に悪と光を飼っている


真実に対してどれほど誠実か

悪意に対してどれほど有能か


誰もが生きる以上試され続ける

故に死を持って苦難を超えたいと

そう思うが

それほど表裏一体ではない


必ずと言っていいほど

死には心が食い込んでいる

無邪気であれば

泣いて済ませて

食べて晴らせたはずだ


生きるほどに培ってきた経験が

自身を束縛し

経験則があるほどに

怯えるものも又増え

慎重になり

息が詰まる


もう全てをかなぐり捨てて

淡々と闇を見つめ

黒く染まり

落ちるまで落ちて

希望もないままに



絶望し絶叫し、死へと追い込み

もうそれほどに生きれば

死んでよかったと思えるのではないか


ただ私は窓を見て

月を見て

そう思ったが


また黒い雲がどこか儚げに映り

泣きたいだけだと悟ったのだ

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