初めての侵入者!


1週間がすぎた。


 (海斗さん。もうそろそろですが準備はよろしいですか?)


「もちろん緊張はするがやると決めた以上はしっかりとやるつもりだ!」


 (それは良かったです。ダンジョンが開かれるともう私との会話は出来ないのでしっかりと自分で考えて頑張ってくださいね。)


「わかった。最後になるからこれだけは言わせてもらう。……女神様。この一週間話し相手になってくれてありがとう。おかげで楽しい一週間だったよ。」


 (…………そうですか。貴方が楽しめてくれて私は嬉しいです。



 …………そろそろ時間のようですね。ではご健闘を祈っております。)


「ありがとうだ。女神様。」


 そしてダンジョンは開かれた。



 ――――――――――――――――――――






 暇だ。


 よくよく考えたら出来たばかりのダンジョンがすぐに見つかるわけもないよな。

 なんならここの立地も分からないわけだしもしここが山奥とかの秘境的な場所にあったらそれこそ誰も来ないとかも有り得るのでは。


 俺としたことが…非常にやらかしてしまったかもしれん。

 とにかく今日一日は動かずに待ってみるか。

 最悪はゴブリンを数体外に派遣するしかないか?


 とにかく寝るか。無駄に体力を使わない方が良さそうだし。










 今日一日誰も来なかったな。

 暇だな。

 寂しいな。

 …………寝よ。




 ――――――――――――――――――――


 とある村



「なんと。新しいダンジョンが見つかったのか。」


「そうなんだ。親父。まだ俺以外にはバレてないはずだぜ。昨日はなかったからほんとに出来たばかりだ。」


「そうか。まだ誰にも見つかってないというのはいいな。しかも今日できたばかりということは魔物も弱いはずだ。」


「そうなんだよ。だからダンジョンマスターを下僕にして俺たちの奴隷にしてしまえば一躍村のトップになれるのは間違いないはずだ!」


「たしかにな。だが出来たばかりとは言ってもダンジョンはダンジョン。ダイだけじゃ危ないことには変わりない。だからこの男女を連れていけ。全くどうしてこんなに弱いのか。とても我が家の者とは思えんな。」


この村の家の一つでこんな会話がされていた。


 会話の主はどうやら家族のようで父と息子が話している。

 そして部屋の隅にとても家族の扱いとは思えない女がいる。

 彼女はヘラ。立派な家族の一員だがこいつらには家族とは思われていない。

 なぜなら女なのに男のようなことをしたがるため異端児とされているからだ。


 この世界は地球のように寛容ではなく男尊女卑が非常に色濃い世界である。

 そのためヘラのような子は異端児として扱われることが特に辺境の村などでは多々ある。


「ボ、ボクは。い、行きたく………」


「黙れ。男のようなことをしたがったのはまだ許せたがそのくせに槍すらまともに振るえない貴様はせいぜいこんな時ぐらい役に立ってもらわなきゃ困るんだ。」


「親父。そんなに怒ったってこいつは変わらないんだから意味ないって。」


「ボクは…槍よりも…」


「黙れと言っておるだろ!この家のものならば槍を振るえなきゃダメに決まってるだろ。剣なんてのは軟弱者が使うものだ!」


「親父。もう夜だ。そんな大声を出してるとバレちまうって。

 とにかく明日俺はこいつを連れてそのダンジョンに行ってみるよ。もし危なくなったらこいつを置いて帰ってくるからよ。」


「そうだな。……とにかく明日頼んだぞ。」


 そうして二人はそれぞれの部屋に戻り今部屋にいるのは彼女だけになった。


 (ボクがおかしいのかな。……でもボクはあの本に出てきた騎士になりたいだけなのに…。

 そんなにボクのやりたいことが変なの?)


 彼女が読んだ本の名前は『姫騎士物語』という物語だ。


 内容は、ある国の王女様が王族の身分を捨て騎士となり、慕っている兄を守り続けるという話だ。

 この話はこの世界では珍しく女性が主役としてかっこよく書かれているためそこそこの人気がある物語ではあるがそれはあくまで都市部での話。

 男尊女卑が激しい辺境ではこの本はアウトである。


 しかしヘラは何の因果かこの本を読んだことで元々興味のあった武芸がさらに気になってしまいますます家での扱いが酷くなってしまった。


 (はぁ……こんな生活が続くならもういっその事明日のダンジョンで死にたいよ。

 ボクの好きなことすら出来ないこんな世の中で生きている意味なんて……)



 そう思いながら彼女は寝てしまった。






 そして翌日。



「ほら、早く来いよ。」


「ダイ。くれぐれも気をつけるんだぞ。お前の命がいちばん大切なんだからな。」


「わかってるよ親父。」


「…………」


「ほら早く行くぞ。」


 早朝。まだ誰も起きてこないような時間にダイとヘラは件のダンジョンへと向かっていった。


 一人はこれから得られるであろう利益を考えながら。

 一人はこの辛い現実からはやくにげたいとかんがえながら。






 しばらく歩くといかにもダンジョンの入口ですというところまで来た。


「ほら、先行け先に。」


 そう言ってダイはヘラを足で蹴りながら前へと進ませた。




 しかし彼らはまだ知らなかった。あんなことになるなんて。



 ――――――――――――――――――――



 二日目。


 今日こそ誰か来てくれないか。

 さすがに暇すぎるよ。外も直接は見れないし1面ゴツゴツした岩肌だけであまりにも退屈すぎるんだよな。

 そんなことを考えてると頭の中にビーー、ビーー、とブザーのような音が鳴った。


 急いで俺はオプションを開くとそこにはこう書いてあった。


「【祝】初めての侵入者!

 おめでとうございます!初めての侵入者が入ってきました。それを記念して5000DPを差し上げます。」


 とある。

 もちろんDPも嬉しいが何より侵入者。つまり人が来たということだ。

 やっと人が来たんだという喜びがある。


 とにかくまずはどうにかこうにか撃退しないとな。


 頑張るぞ!


 ――――――――――――――――――――


 


 やっぱ一番最初のヒロインは自分の好みのタイプを描きたいなと思いボクっ娘にしました。


 まだ先の話ですがヒロインだけでなく男の仲間も書きたいと思っているので男一人ハーレムという訳では無いので気をつけてください。


 


 ということで、もし面白いと思っていただけたなら星1でも構わないので評価をしていただけるとモチベに繋がるのでぜひお願いします!

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