三人寄れば文殊の知恵?個人弱小の最強パーティー

あちゅ

プロローグ

ここ最近、日本での流行は一つに収束している


それは、「ダンジョン攻略」


2015年に突如として現れたダンジョンを舞台に誰もが自分が一番強いのだと証明するため、日々ダンジョンへと足を向ける


ただし、ダンジョン内では現実世界では考えられないような生物、現象が発生するので、政府はダンジョンに入るときは2人以上のパーティーで必ず政府から支給された端末で配信することを絶対のルールとしている


ダンジョン内で配信する理由は大きく二つ、ダンジョンで何か異変が起きたときに逐一知れるようにの情報収集端末としての役割、そして、もう一つが冒険者ランクを上げるための不正防止だ


ダンジョンは基本的に地下に広がっていて、それぞれが階層で難易度が分かれている

そしてそれは、深くなればなるほど難易度が上がっているので、初心者が深層までいかないようにそれぞれの冒険者ランクによっていける階層というのが決まっている


ちなみに、根を張るようにといったが、実際に浅い階層では横にいくつもの空間が分かれており、1層では20近くの空間があるが、2層では18の空間へと収束していく、つまり、どの部屋から攻略しても最終的には1部屋になる


まぁ、この減り具合も1層の空間の数もダンジョンによってランダムなのだが


さて、ダンジョン内での配信による不正防止の話に戻るが、冒険者ランクを上げるために必要なのはモンスターの素材だ

このモンスターの素材が本当に自分で狩ったものなのか、他人から譲り受ける、強奪する、ドロップしているものを勝手に拾う。これらを判断するために配信する必要がある


ただ、配信をしてもその時間によってはわざわざ人が確認をするのは大変だ

なので、素材の納品時にパーティー全員が端末を提出し、それらから配信データを抜き取り、AIにて素材と配信に乗っているモンスターの種類、数を適合させる

それによる誤差が一定以内であれば自身の功績として記録され、誤差範囲外だった場合には功績としては記録されないという仕組みになっている


このシステムが構築されて以降、一般人の中で使われていたSNSが青い鳥やカメラのマークがついたものから、ダンジョン攻略配信専用サイトへと移り変わり、これまで自己顕示欲が強かった人や、承認欲求が強かった人、異世界にあこがれを持っていた人がこぞってダンジョンにもぐることになった


そしてここにも3人、ダンジョンという異世界に魅せられた少年少女たちが激闘を繰り広げていた


☆ ☆ ☆


「ちょっと!そっちにいくわよ!」

「わかってるよ!カオリ!」

「レン!僕が一瞬動きを止めるからとどめを!」

「了解!まかせとけ!ハル!」


ギャオー


少しかわいらしい鳴き声だが、この3人が戦っているのはドラゴンだ

場所は99層

この階層には空間が1つしかなく、それこそがこのダンジョンの最下層であるという証明をしている


「バリア!」

「リフレクション(小)付与!」


シュッ―パリンッ


ハルが作り出したバリアと呼ばれる魔力の壁はドラゴンに当たった瞬間消し飛んだ

だが、そのバリアに付与されたリフレクションの効果によりドラゴンが鼻先で何かがはじけたような挙動を取る


「ここだ!クリティカル!」


さっきレンと呼ばれた少年がジャンプをし、ドラゴンの後頭部側に回り込みそのまま脳天めがけて剣を突き刺す


グサッ―ポキッ―


ギャアアアアアアアアアア!


悲鳴とともにドラゴンは倒れる


「あれ?もしかして討伐成功?」

「そうっぽいよカオリ。お疲れ様」

「いやーなんとかなったな!」


なんともあっけない終了に動揺しているカオリだが無理もない

このドラゴンと戦い始めてまだ5分しかたっていないのだから


「けど、かなり危なかったね。ちょうど僕がレンにかけたバフが切れたよ」

「まじ?じゃあ5分かかったってことか、まぁ確かに俺の剣もおれたしな。これで倒せてなかったら詰んでたぜ」

「私ほとんど仕事してないんだけど」


二人が話しているとカオリが少し表情暗めにいうが


「「いやいやいや!めちゃくちゃ役に立ってたからな!」」


言われた二人は声をそろえて否定した


「だって!ドラゴンの足元に氷魔法をうって足止めしただろ?」


とレンがいうと


「けど、1秒も止めれてないし・・・」


と答え


「けど!継続的にマナ回復してくれたじゃないか!」


とハルがいうと


「それも自然回復の1.5倍のリジェネじゃない」


と答える


「「ハルカはこれの凄さをわかってない!」」


しまいには本当に二人に怒られた


「まず!僕は確かに魔力消費効率が良いから魔法を打てる回数は多いけど無限じゃない!それを自然回復の1.5倍で回復してくれるだけで半永久的に使えるようになるんだよ!?」

「それに俺だって!クリティカルを出すためには的確に敵の急所を狙わないといけないんだぞ!それを動く敵に当てるのと、0.5秒でも止まってる敵に当てるのとで難易度が天と地ほど分かれるんだ!」

「「だからハルカはもっと自信を持て!」」

「う、うん」


正直2人の意見に押されてうなずいただけなのだが、とりあえずは2人の意見に納得した


「けど、役に立つ云々は抜いても、D級冒険者の私達がまさかドラゴンを倒せるなんてね」

「おいおいハルカ。忘れるなよ?俺たちのSだぜ?ドラゴンくらい倒せるさ」


ダンジョンが生まれてから9年、今ここに最弱の最強パーティーが日の目を浴びようとしていた

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