第3話:カオスに落とされた天使。

加藤 意志郎かとう いしろう」のマンションへ、へこへこ着いて来た

来羅は、ソファに座って

意志郎に出してもらった飲み物を飲んで少し落ち着くと、なんで自分がこの世界、

つまり人間界にいるのかについて説明しはじめた。


「私の本当の名前は「ライラ・グレース・ミル」って言うの」


それは天国、天界での話・・・。

来羅は神と神に反旗をひるがえした天使たちの渦中にいた。

彼女は仲良しグループの中にいてその中のひとりの天使が神に不満を持った。


で、同じ考えだった天使ルシファーと他の天使たちと徒党を組んで神に戦いを

挑んだ。

だけど誰も神になど勝てるはずもなく逆らった天使は、みなカオスに落とされた。


「彼ら秋の葉のごとく群がり落ち、狂乱した混沌は吠えたけり・・・」


来羅は神に逆らった天使たちと違ってカオスに落ちるはずじゃなかった。

ただ神と天使との諍いいさかに巻き込まれただけ・・・。


そして他の天使たちと一緒に間違ってカオスに落ちた。

一度カオスに落ちた来羅は堕天使になった・・・もう二度と天界には帰れない。


だけど、そんな来羅を不憫に思った彼女の父親が「おまえはここにいては

いけない」そう言って自らの力を犠牲にして来羅をカオスから人間界に送り

出してくれた。

そして人間界へ行ったら、誰か頼れる人間を探すよう手っ取り早いマッチング

サイトを教えてくれたんだそうだ。


ね、信じられないよね、そんな話。

カオスにいる堕天使がマッチング知ってるってなに?

だいいち、そんなの海外の話だろ?ここは日本だぞ、それからしておかしいだろ?


「お父さんは元、上級天使だから、そのくらいのことは知ってるんです」


だけどそれが嘘偽りのない真実。


「そんな話で、男を丸め込もうって?・・・手が込んでるね」


来羅は全部、しゃべり終えると泣き始めた。


「おいおい・・・なに泣いてんの?」


「だって、信じてくれないんだもん」


「いやいやいや・・・なんて言っていいのかな・・・信じてないと言ってないし」

「あまりに突飛な話だからさ・・・まるで失楽園の一節みたいだし」

「って言うかさ・・・その話が真実だったとしてだよ・・・君がライラちゃんが

堕天使だって証拠は?・・・証拠あるの?」


「証拠・・・・証拠って・・・あ、お尻に堕天使だって証拠のアザがあります」

「見ます?」


「え?・・・お尻って・・・見れないだろ、JKのお尻なんて・・・」


「なんでですか?・・・見るだけでしょ?」

「ちゃんと見てもらわないと証明できないじゃないですか」


「そうだけど・・・」


「じゃ〜見せますね?」

「あの、私のお尻見てエッチい気分にならないでくださいね」


「ならないよ、シュチュエーションが違うだろ?」


「いきますね」


そう言うと来羅はスカートをめくって、パンツを少し下げた。

そしたらそこに六芒星に魔法陣みたいなモノが焼印を押したみたいにアザに

なっていた。

まあ、それが堕天使の証拠になるのかってのは疑問だけど・・・。

今まで一度も見たことないからね・・・そんなもの。


それが証拠だって来羅に言われたら、そうですかって言うしかなかった。

それにしても可愛いお尻。


「いいよ、分かった・・・とりあえず信じてみる」


「とりあえずって何ですか?・・・信じてみるって?・・・そんないい加減な

こと・・・信じてくれないと困るんです」

「でないと誰に頼ったらいいんですか?」

「もう、イッシーに依存してるんですからね、私・・・」


「え?イッシー?・・・イッシーって誰?・・・もしかして俺のこと?」


「いしろう、だからイッシーです」


「あ〜なるほど・・・で?依存ってなに?」


「私はイッシーしか他に頼る人いないから・・・」

「私カオスからは出られましたけど結局、人間界に来ても、ひとりじゃ

生きていけないことには変わりありませんから」

「それに私はもう人間の世界でしか生きていけないの、天界へも帰れないし

他では暮らせない」

「だからイッシーに全面的に依存するしかないの、分かった?」


「分かった・・・まあ、しょうがないか・・・ライラがJKだからって

俺がスケベ心なんか出したからこう言う羽目になったんだし、俺にも責任の

一端はあるか」


つづく。






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