第52話 ドラゴン娘、泥棒三姉妹から奪い返す。(後編)

「何であの子が私達が編み出した術を!?」


「そんなの知らないわよ!?」


「返してもらうわ。」


「あっ!ダイヤの首飾りが!」


「今だ!飛び乗れ!」


「それっ!」


目眩ましで動揺している隙にアンナは盗まれたダイヤを奪い返して、リュウカの背中に飛び乗ってた!


「お帰り、アンナ。作戦上手くいったじゃないか。」


「私が考えたのよ。当然じゃない。」


「お姉ちゃんかっこよかった!」


「そっそう…?」


「どうする!姉様!アルファ姉!ダイヤ取られちゃったよ!」


「せっかく盗んだダイヤをみすみす奪い返されてたまるもんですか!アルファ!ベガ!あの巨大な化け物を撃ち落とすわよ!」


«了解!»


「見て!攻撃してくるみたいだよ!」


«ファイアー・ボール!» 


「来た!回避するからしっかり掴まってろよ!」


«きゃっ!»


リュウカは飛んでくる炎の玉をアクロバティックな飛行で必死に躱した!


「うぎっ…気持ち悪い…酔ってきた…」


「大丈夫か!アリア!」


「アリア、絶対に手を離すんじゃないわよ?」


「どこ行くの!お姉ちゃん!」


「おっおい、危ないぞ?」


アンナはリュウカの頭に乗った!


「いいから!あいつらを吹っ飛ばすのに力を貸して!」


「そんな無茶しなくても俺がドラゴン・ブレスで吹き飛ばしてもいいんだぞ?」


「私にやらせて!大事な妹であるアリアになりすましたり、あげくの果てに人質にしたんだから、倍にして返してやりたいの!」


「フッ、わかったよ。何をすりゃいいんだ?」


「まずは…」


そして、気球から攻撃をする泥棒三姉妹はというと。


「あの小娘、わざわざ化け物の頭に乗って!挑発してるのか、自分が的になろうとしてるのかしら!」


「そんな感じには見えないけど?」


「いいわ!どっちでも撃ち落とせば同じことよ!」


「聞けー!泥棒三姉妹ー!」


「ぐあっ!」


「耳が!」


「何てでかい声なの!」


「俺が誰だがわかるか!」


「わからないっての!」


「あんたみたいな化け物に知り合いはいないわよ!」


「偽アリアと偽メイド!お前らは領主のお屋敷で俺と会ったはずだぞ!」


「はい…?」


「んな馬鹿な…?」


「わからないなら、教えてやろう!俺はリュウカ・マジ!お屋敷に客人として呼ばれてた半人の絶世の美少女だよ!」


«えっ…?えっーー!!?»


「二人とも驚いてる場合!」


「今だ!攻撃の手が止まってる!アンナ、術は出せそうか!」


「ちょうどよく魔力が溜まった所よ!」


「んじゃ、やってやれ!」


「くらいなさい!ドラゴン・トルネード!」


「何あれっ!?」


「私が知るかー!」


«きゃぁぁーー!»


アンナの出した竜巻に飲み込まれた泥棒三姉妹の乗る気球はそのまま遠くへ吹き飛ばされて行った!


「ふぅ…終わったわね…」


「やったね!お姉ちゃん!」


「アリア…」


「お疲れ様さん。君って自分で言ってたように強かったんだな?」


「褒めたって嬉しくないんだから…」


「お姉ちゃんったら。」


「でも俺が出す術以外にもドラゴンってつく術があるとは知らなかったな。」


「あっあれは…ただのちょっと大きめの竜巻を出す術なの…本来、術名にドラゴンとはつかないわ…」


「あれっ?そうなのか?だったら何でドラゴンって?」


「その方が一緒に攻撃を出したみたいで格好いいかなって思っただけよ…わるい…?」


「フフフッ。悪くない。むしろ好きだな。俺もそういうの。」


「フフッ。私もだよ。」


「じゃじゃあ、何で二人とも笑ってるのよ!」


「どうしてだろうな?なっアリア?」


「どうしてかな。」


「もう…」


「さぁ。お屋敷にいる皆が心配してるはずだ、帰るぞ。」


「はーい!」


「はい。」

(ありがとう。リュウカ。またアリアを助けてくれて。)


アンナはリュウカが気づかないようにそっと背中の鱗にキスをした。それを隣のアリアが見てる事も忘れて。


(今日ぐらいは目をつぶってあげるよ。)


一方、その頃、吹き飛ばされた泥棒三姉妹はというと、地上に落下して運良く木にぶら下がっていた。


「チクショー!リュウカ・マジ!アンナ・ホワイト!あいつら覚えてろよー!いつか復讐してやるからなー!」


「完全に負け犬遠吠えだよね。」


「うっうるさい!」


「じゅるる、服が破れてて下着が見えてるわ♡今日はピンクなのね♡」


「そんな目で私を見るんじゃなーい!!」


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