TS転生してドラゴン娘になりました。

ぎゅうどん

第1話 ドラゴン娘になった。

「危ないっ!!」


俺、馬路龍我、高1の男子は道路を走っていた大型トラックの前に飛び出した子猫を助けて、自分が跳ねられた。


「終わった…」


後悔していないといえば嘘になる、まだやりたかったことはいっぱいあった。


《感動しました。あなたのその勇気。》


綺麗な声だなと思いつつ目を開けると、想像の倍以上に美しい美女が目の前に居た。


「あなたは…?」


《わたくしは女神のノア。あなたの居た世界ともう一つの世界を創造して見守ってきた者です。》


「そんなチートな存在に会うってことは、オレはもう生きてはいないんですね…?」


《はい、残念ながら。》


「くはぁ!母さん、父さん、親不孝者の俺を許してくれ!親友の虎尾、もう遊べないし、借りたゲームとエロ本返せなくて悪い!」


《心中お察しします。ですが、落ち込まないでください。》


「えっ…?」


膝をつく俺の肩にそっと手を置いて話し始めた。


《あなたを元の世界では生き返らせることは不可能ですが、わたくしがもう一つ創造した世界でなら、別の命として生まれ変わらせることが出来ます。》


「それってラノベやアニメでよくある異世界転生って奴じゃ…?」


《そうです。馬路龍我、あなたは自分の命を犠牲にして子猫の命を救いましたね。とても勇気ある行動で誰にでも出来ることではありません。わたくしは感動しました。なので別の世界にはなりますが、極力、あなたが望むように生まれ変わらせてあげましょう。》


「あはは、マジですか…これじゃ本当に俺って異世界転生作品の主人公みたいだ。」


《それでどのように生まれ変わりたいですか?》


「自分に近い姿だと、前の世界のことを色々と思い出して暗くなりそうだからな、いっそ、性別を変えてもらえますか?そして叶えば美少女に…?」


《叶えましょう。性別を変え、今のあなたとは真逆に絶世の美少女にして差し上げます。》


「なんかそれって、もとの俺がブサイクだってディスられてるように聞こえますね…?」


《・・・・・ほかはありませんか?》


「一瞬黙りましたね…?まぁいいけど…」


《容姿だけじゃなくて、能力とかも与えられますよ?》


「能力!もしかして転生させてくれる世界には魔力とか魔術とか存在してたりするんですか!」


《存在してます。もう一つの世界はあなたが居た世界とは違いファンタジーな作りなのです。》


「じゃあ、全てを最強にしてください!」


《全てが最強ですね。わかりました。》


「おおっ!」


美少女にまでなって、膨大な魔力とかチートスキルを使って異世界を無双するとか最高じゃんか、俺はすでに興奮していた。


《では転生してもよろしいですか?》


「まっ待ってください!鏡とかありますか!」


《ありますよ。》


俺は鏡を受け取ると、自分の顔を映して呟いた。


「さらばだ、俺。15年間、ありがとう。」


《なるほど、だから鏡を。》


「もう大丈夫です。転生お願いします。」


《いきますね。X△□○△X□…》


「わぁぁ…なんだか暖かい…まるで浄化されてるみたいだ…」


女神様が不思議な呪文みたいなものを唱えると、俺は光に包まれて目を閉じた。そして次に目を開けると俺は見知らぬ森に居た。


「胸がある、それもでかい。肌も足もすべすべ。それになんて可愛い声、俺、本当に女の子に転生したんだ。」


《ご要望通り、美少女に転生させましたよ。》


「すごい。夢じゃなかったんだ。というか女神様の姿は見えないですが、もしかしてこれってテレパシーってやつですか?」


《そうです。あなたの脳に直接話しかけてます。》


「じゃあ、そのせいなのかな。頭がさっきからちょっと重いんですよ。あとお尻あたりも。」


《そりゃ、角と尻尾がありますからね。》


「えっ…?角と尻尾…?」


俺は頭とお尻の方を触ると、本当に角と尻尾らしきものがあった。


「どっどっどうなってるんですか!俺って人間の美少女に転生したんじゃないんですか!」


《やだな、最強になりたいって言ったじゃないですか。だからその世界で一番最強の生物、ドラゴンの娘に転生させたんですよ。》


「そっそっそういう意味じゃないですから〜!!」


俺は意図しない形でドラゴン娘になった。


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