俺の心の相棒は、神を名乗っている

朝星りゃう

プロローグ

「時代が時代なら、俺はこの夜空に刻まれていただろう!」


蝉時雨と効きすぎた冷房の音、生徒達のタイピング音のみが響いていたパソコンルームで、突如一人の青年が叫びを上げた。


青年はよく転がるコロのついた椅子から勢いよく立ち上がり、掌を愛おしそうに蛍光灯へ伸ばす。

生徒達を釘付けにしていた視線は、Wordの画面から青年へと移る。

一人は驚いたような表情で、一人は痛いものを観る表情で、一人は腹を立てたような表情をしていた。


瞬きの間、時が止まったかのような感覚になった。

熱を持った機械の匂いが妙に印象的で、この日の感覚を、忘れられる気がしない。


「…すみません。」

呆気にとられた表情をした青年は、ズレた眼鏡を掛け直し、コロのついた椅子へと座った。


___あれは、専門学校に通っていた頃の、7月に起きたことだった。


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