メンヘラ殺人鬼と愉快な仲間達

烏目 ヒツキ

メンヘラ殺人鬼

狂気

 オレはとある島の浜辺で、カメラを回していた。

 絶海の島は、見渡す限り地平線が続いている。

 青い海は底が見えるほどにキレイだ。


 だけど、澄んだ海水が赤く濁るところをカメラに収めている。


「あ、リーダー。ちゃんと見てないとダメだよ」

「……う……はぁ」


 波打ち際には3人の男女がいた。

 あいつらに混ざっているはずの1人は、オレの横に引っ付いている。

 オレは今にも吐きそうなのに。

 隣の奴は、「みんな元気だね」とのん気なことを言っていた。


「な、なあ、これ……、何だ?」

「なに、って」

「おかしいだろ。お前ら――」


 両膝を突く男が、一方的に金づちで頭を殴られていた。

 体つきはガッチリしているので、初めは抵抗していた。

 でも、3人の容赦ない襲撃で、呆気なく押さえられた。


「それ、1、2、3!」

「スイカみたいには割れないね」

「うっは。でも、中見てみろよ。超綺麗だよなぁ」


 3人は楽しげだった。

 何をしているのか。

 言語化すると、吐きそうだ。


「リーダーも来てみろよ!」

「……お前ら……狂ってるよ」


 オレがぽつりと言うと、隣の女が小首を傾げた。


「えぇ? 普通だよ」


 カメラの映像に記録されているのは、殺人映像だった。

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