第4話 戦闘配備
何かと意見が噛み合わない鉄砲屋と水雷屋、それに飛行機屋だが、それでも意を同じくするところがある。
米国との戦争は、これを避けるに越したことはないということだ。
だがしかし、時代がそれを許さなかった。
昭和一六年一二月一日、第八回御前会議において米英蘭に対する開戦が決定される。
これに呼応し、帝国海軍も行動を起こす。
各艦隊はあらかじめ定められた手順に従い抜錨、それぞれの目的地へとその舳先を向けた。
太平洋艦隊迎撃部隊
第一艦隊
戦艦「長門」「陸奥」「伊勢」「日向」「山城」「扶桑」
重巡「青葉」「衣笠」「古鷹」「加古」
軽巡「那珂」「神通」「北上」「大井」
駆逐艦「雪風」「初風」「天津風」「時津風」「浦風」「磯風」「浜風」「谷風」「萩風」「舞風」「野分」「嵐」「黒潮」「親潮」「早潮」「夏潮」
「龍驤」(零戦二四、九七艦攻九)
「龍鳳」(零戦二四、九七艦攻三)
※「千歳」(零戦二四、九七艦攻三)
※「千代田」(零戦二四、九七艦攻三)
※「瑞穂」(零戦二四、九七艦攻三)
※は第二艦隊から臨時編入
第一航空艦隊
「赤城」(零戦二一、九九艦爆一八、九七艦攻二七)
「加賀」(零戦二一、九九艦爆二七、九七艦攻二七)
「蒼龍」(零戦二一、九九艦爆一八、九七艦攻一八)
「飛龍」(零戦二一、九九艦爆一八、九七艦攻一八)
「瑞鳳」(零戦二四、九七艦攻三)
「祥鳳」(零戦二四、九七艦攻三)
重巡「利根」「筑摩」
軽巡「川内」
駆逐艦「陽炎」「不知火」「霞」「霰」「朝雲」「山雲」「夏雲」「峯雲」「朝潮」「大潮」「満潮」「荒潮」
南方作戦
本隊(全般作戦支援)
戦艦「霧島」「榛名」
重巡「愛宕」「高雄」
軽巡「名取」「鬼怒」
駆逐艦「海風」「山風」「江風」「涼風」「白露」「時雨」「村雨」「夕立」「春雨」「五月雨」「初春」「子日」「若葉」「初霜」「有明」「夕暮」
フィリピン攻略部隊
重巡「摩耶」「妙高」「羽黒」「足柄」「那智」
軽巡「由良」「長良」「阿武隈」
駆逐艦「磯波」「浦波」「綾波」「敷波」「吹雪」「白雪」「初雪」「叢雲」「東雲」「薄雲」「白雲」「皐月」「水無月」「文月」「長月」「菊月」「三日月」「望月」「夕月」「睦月」「如月」
特設空母「春日丸」(零戦一二、九七艦攻九)
マレー攻略部隊
重巡「鳥海」「熊野」「鈴谷」「最上」「三隈」
軽巡「五十鈴」
駆逐艦「暁」「響」「雷」「電」「朧」「曙」「漣」「潮」「朝霧」「夕霧」「天霧」「狭霧」
グアム攻略部隊
軽巡「夕張」「天龍」「龍田」
駆逐艦「秋雲」「弥生」「卯月」
香港攻略部隊
軽巡「球磨」「多摩」
駆逐艦「夕凪」「朝凪」「追風」「疾風」
大艦巨砲主義が幅を利かせる帝国海軍だが、しかし実際に期待されているのは大小合わせて一一隻の空母だった。
その一番の理由は、単に戦艦戦力の不足からくるものだった。
現時点において戦力としてカウント出来る戦艦は「長門」型と「伊勢」型それに「扶桑」型と「金剛」型の合わせて八隻にしか過ぎない。
しかも、これらのうちで「霧島」と「榛名」は南方作戦の基幹戦力となっているから、これら二隻を太平洋正面に持ってくるわけにはいかなかった。
そして、残る六隻の戦艦で一〇隻前後と予想される太平洋艦隊に立ち向かうのは、無謀とは言えないまでもしかし不利なことには違い無い。
そのことで帝国海軍は空母部隊による洋上航空戦にその活路を見出す、あるいは頼らざるを得ない状況となってしまった。
しかし、その空母部隊も万全には程遠い。
マル三計画それにマル四計画で空母へと改造されるはずだった四隻の「金剛」型戦艦だが、しかしこちらはそのいずれもが空母への改造工事中かあるいは戦艦のままだった。
また、中型空母に迫る戦力を持つとされる二隻の大型貨客船改造空母も、その工事が終わるのは来春以降と見込まれている。
それでも合わせて一一隻の空母は、単純な数だけで言えば太平洋艦隊のそれを大きく凌駕している。
現状、他にこれと言ったアドバンテージを見出だせない帝国海軍にとってこれら一一隻の空母は、それこそ最後の希望とも言える存在だった。
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