鏡の森のアリス

くまんばち

第3話「ネコのキャロット」

 奇妙な森を抜けると、アリスは美しい花畑にたどり着いた。花々は鮮やかな色彩で咲き誇り、風に揺れるたびに甘い香りが漂ってくる。


「ここは素敵な場所ね。でも、何かが違う気がする…」

 アリスは感じた。


 その時、花の間から一匹のネコが現れた。ネコは輝くような毛並みを持ち、その瞳は満月だった。


「こんにちは、アリスさん」

 ネコが話しかけてきた。


「こんにちは、あなたは誰?」

 アリスは尋ねた。


「私はネコのキャロット。ここで花たちの世話をしているんです」

 キャロットは優雅にお辞儀をした。


「花たちの世話? それは大変そうね」

 アリスは感心した。


「ええ、でも花たちはとても優しいんですよ。ところで、アリスさん、あなたはどこに向かっているんですか?」

 キャロットが尋ねた。


「実は、この逆さまの世界を探検しているの。次はどこへ行けばいいのかしら?」

アリスは答えた。


「それなら、ここから少し進むと、月の水たまりがあります。そこには月に生息する不思議な生き物たちがたくさんいますよ」

 キャロットが教えてくれた。


「月の水たまり? それは面白そう!」

 アリスは期待に胸を膨らませた。


「でも注意してくださいね。月の生き物たちは独特なルールで生きていますから。」

 キャロットは微笑んだ。


アリスはキャロットにお礼を言い、月の水たまりに向かって歩き始めた。途中、花畑の花々がアリスに手を振るように揺れているのを見て、彼女は心が温かくなるのを感じた。


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