202404⁇

 一歩間違えたら黄泉に連れていかれるところだった夢を見た。


 ×××という海の街に行こうと路面バスに乗り込んだものの、なんと80分かかるという。空は昼のような夕暮れのような鈍い色をしていた。けれど時計を見るとすでに十八時半だったので、次のバス停で降りて引き返すことにした。

 家に帰らなくては。

 なんとなく、家に待っている人がいることだけ私の中に強く残っていた。バスへ乗り込んだ昔からの友達はそのまま乗って行くという。停車したそこは山道で、高い岩肌を背にしてバス停の標識だけが無造作にアスファルトの上に立っている。バスはそのまま山道を登って行った。

 帰ろう。なぜかいやに胸がざわついて、足早に引き返した。バスで通ったトンネルを徒歩で引き返すのはよくない感じがしたので、帰り方向のバス停を探そうとする。きっと向かいの道路にあるだろう。そう考えてトンネルの前で振り返った時、山道からバスが走ってきた。やはり戻りのバスがあるんだと安堵したのも束の間、そのバスの乗客はみんな死んでいて、私と目があった瞬間生きているようにわいわいと賑わいだしたので乗るのはやめた。徒歩でトンネルを抜けることになる。仕方がないだろう。出会ったおじさんに、▽▽と⚪︎⚪︎は避けろと言われた。必死で生きてる世界に帰る途中、犬の腹を撫でた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る