20240613
恋人が狂ってしまったのだ。この子はもう一人で歩くことができない。怪我もしているし、わたしが担いで、なんとかあのお化け屋敷に入る必要がある。テーマパークには人が多く、大多数は楽しみに来ている一般人だが、ちらほらスーツやトレンチコートの男がいる。彼らはわたしたちのような発狂者を隔離してどうにかするのが仕事のようだった。
そう。恋人が狂ってしまったと述べたが、本当はわたしが狂ってしまっているような気がする。恋人が致命傷を負って、ぐったりとして動かないから、その体を担いで助けを求めて叫んで喚いているところを捕まったように思う。
わたしの体も動かなくなった。廃校のような場所にいて、外は雨か、曇りだ。教室はやけに広く、がらんとしている。わたしは叫んでいた。動かない恋人とわたし自身の体を認識して、それでも絶えない意識に絶望していた。「もうわたしたちの魂を解放して」と掠れた声でかろうじて発した。本当は絶叫したつもりだったが、声が出ていなかった。
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