20150707
学校で、某刀擬人化ゲームの短刀二人が校内を走り抜けていく。それを赤色の打刀が驚いた顔で注意する。彼らは構わず中庭に出て、砂利を蹴って進み、一階の男子トイレに向かう。一番奥の個室に二人で入り、条件が揃うのを待った。しばらくすると男子生徒が入ってきて用を足す。その間に、短刀二人は個室の壁を裏返して裏通路へ転がり込む。
私は某刀擬人化ゲームの同人誌を三冊買って家に帰った。部屋で読んでいると、隣の部屋から母親と兄の会話が聞こえる。
「あの子腐女子なんでしょ」
「なんで」
「だって今すごく静かだもの」
そう言う母親は、古本屋で買った十冊くらいの古い漫画を読んでいる。内容はこうだ。
若い女を引っ掛けて一夜を共にした男子学生が、昼間の路上で、ニコニコした男に声をかけられる。若い女は「最初は遊びだったけど、本当に恋をした」と泣きそうになりながら男子学生に告げる。男子学生は、ニコニコした男に手を引っ張られながら「大丈夫っすよ」と答える。これからニコニコした男の手で無残に殺されるのを、男子学生だけが知らない。
私のクラスは、その漫画を再現して劇をしていた。教室に行くと演技の真っ最中で、それまで漫画を持っていなかった私は「今日の演技のところまで追いついたよ」と昔付き合ってた人に言う。すごいじゃん、と褒められる。
女六人のグループで、大規模な鬼ごっこに参加した。それは海沿いの道路と工場で行われる。私たちはピンクと黒の服を着ていてわかりやすい。私は何回目かに鬼をやって、他の人にタッチする。最後、私たちのグループは、一人の女を捕まえなくてはならなかった。時間がなく、全員で打ち合わせして走る。私は先頭で、各所に置かれたコンテナを避けながらさらに速く走り、目の前をいく女を捕まえる。道路のどんつきにある個室はエレベーターになっていて、私は女を羽交い締めにしながら、エレベーターの床に座った。他の五人も私たちの周りを固めつつ床に座って乗り込む。赤っぽいエレベーターは、どんどん降下していく。
羽交い締めにした女が「なんでみんな床に座っているの。万一落下しても衝撃が妊婦にも優しい床だから?」と言ったので、みんな座るのをやめた。
ふと気がつくと、救急車の中にいる。
女たちは消えていて、白いシーツが体にまとわりついている。隣の担架に男の人が寝ているのが見える。気が動転して「夢だったの、殺されかけたのに」と騒ぐ私に、救急隊員の男が声をかける。私はシーツの下からレシートを見つけて、ほら、と救急隊員に押し付けた。救急隊員はしばらくレシートを見た後苦笑して「同人誌ですよ」と言う。レシートをよくみると、私が買った同人誌三冊の名前と値段が記されている。
夢じゃない、と思う。
なんだかここにいたらまずい気がして、降ります、と言った。私が救急車から出るのと同時に、薄汚れた強面の男達が三人乗り込んできて、すれ違う。男達は無言で私を見ていた。彼らは手に見たこともないものを持っていたが、それが全部人を殺すためのものだと一目でわかった。ぞっとして、足早にタラップを降りる。外にはさっきレシートを見せた救急隊員がいて「帰るんですか」と言う。
「はい」
「そうですか、気をつけておかえりください」
彼はそう言ったが、すれ違いざまに、右手に持った鋭く細長い鉄製の串で、私の手首から人差し指にかけてを突き刺して、抜いた。あまりに静かで、固まって動けなかった。
救急隊員は笑顔で私を見てくる。手が痛む。なんとか体を動かして、小走りで救急車から離れる。時々後ろを振り向いても、追ってくる気配はなかった。
逃げるように走っていると、どうやらここが東京らしいとわかった。朝早くて、空は白んでいる。景色から、昔夜行バスで着いた駐車場が近くにあると思って、道幅の広くカーブした白い住宅道路を歩く。そこには一定の間隔で足元にワイヤーが張られていて、誰かが引っかかるとピアノのような音が鳴った。うっかりすれば足が吹っ飛んでしまうと思って、跨ぎながら進む。
自身の娘を模した人形を持った気の狂った女が近づいてきて、何か話しかけてくる。怖くて適当に話を合わせた。結局すべてのワイヤーを越えることができなくて、引き返す。人形を抱いた女から逃げるようにその場を後にする。
前に住んでいたマンションに着くと、小さな女の子に声をかけられる。「習字セットを忘れたから貸して」と言われる。とても馴れ馴れしい口調だったので、持ってないから貸せないと嘘をついて自分の部屋に帰った。
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