第20話 オールドターキー
巨大な
とんでもない質量を持つはずの鉄屑は、まるで軽いブロックのおもちゃのように弾け飛んでいく
「――キャ〜!って、えっ?……」
先程まで90メートルもの上空から落下していたはずが、落ちていない……落ちていないどころか、アルキ達4人は、上空に上がっている。宙に浮いている?と思わせるほど、軽やかに空を飛ぶ
襲いくる「鉄屑隕石」を弾き、反動を利用するように空を駆け上がっているのだ
「――ちょっ!アルキ……空飛んでる!」
「カハハハ!こりゃぁ愉快だ!」
「――えっ?……誰?」
「あん?オレは「ターキー」だ!カハハハ!」
「――?「ターキー」ってどういう事?……アルキじゃないの?」
「やっぱり最後はオレしか頼る奴がいないなぁ!?アルキ!」
「ターキー!レディ3人だ!丁重によろしく頼むぞ!」
「知るかボケ!まぁオレに触れていれば、怪我はしねぇよ!全部「
「――どういうこと?アルキが、アルキだったり、アルキじゃなかったりする……」
「オプティマスブリッジ」が「共振」により巨大な蛇のようになり、襲ってきたこと
信じられない身体能力で、杏子を抱いたまま荒れ狂うワイヤーや隆起する道を、渡り切ったアルキ
アルキには聞いていたが「探求科」を追い詰めていたのが、顧問の「
そしてなにより……今自分を抱いているアルキの中に「もう一人の人格」がいること
「ターキー」……アルキの中の「もう一人の人格」
あきらかに「
崩壊の砂煙が舞い散る中、「ターキー」の動きを確認したのは
気を失っている二人を優しく地面に寝かせて、杏子と「ターキー」は向かい合う
「カハハハ!いや〜楽しいシチュエーションだったなぁ!オンナ!」
「……「ターキー」って……表情が違うから顔も違って見える……同一人物なの?」
「ふん!オレのほうが男前だろう?」
「……わたしはアルキが好きだから……でもそうなると「ターキー」のことも好きってこと?」
「カハハハ!案外
「だって「ターキー」が助けてくれたんじゃん!怖いわけ無いよ」
「……ほぅ、見込みはあるな……まだ若いが……」
「でしょ?わたしはアルキの「未来の伴侶」になるのよ!」
「ほほぅ、その意味……分かって言ってんのか?」
ターキーは猛獣のような鋭い目つきで
「わたしもいちおう、「探求科」の天才の一人よ!アルキはただの「一教師」じゃないんでしょ?」
「……まぁこれだけ見せてるんだ、テメェはもう巻き込まれてる……オレとアルキは警視庁公安部兎角課「フクロウ」のエース「オール・ド・ターキー」だ!」
「――!な……な……何それ!めちゃくちゃカッコいいんですけど!」
「誰にも言うなよ!」
「もちろん!二人だけの秘密だね……いや三人か?」
「待て待て!何ベラベラ喋ってるんだターキー!」
「――あっ!アルキだ」
「うるせ〜!どうせコイツには、いずれバレる!だったらいっそここで口止めしたほうがいいだろが!」
「――あっ!ターキーに変わった」
「ふむ……、一理あるな、ターキーにしては珍しく……」
「こっちはアルキだ」
「んだとコラァ!珍しくとはなんだ!オレがいなきゃ死んでたところだぞ!感謝しろ!」
「ターキーだね」
「感謝してるよ!全部俺の計算通りに動いてくれて」
「アルキってなんか忙しいね……見た目も変わるから面白いけど」
「大体この「兎角」の制御も出来ねぇ女の能力を、ずっと封じてたのもオレだからな!」
「――え?そうなんだ」
「そうだな……ターキーは「
「そっかぁ……じゃあずっと一緒にいないとね!」
「ふん、オレに触るんじゃねぇ!」
「――あっ!……ズルい……ターキーに入れ替わってるの?」
ターキーが睨むと、
「じゃあ戻るか!……
「――うん!」
海面からおよそ90メートルの
「オプティマスブリッジ」では、以前「とある兎角」の暴走により、100人以上の死者を出している
今回、橋は甚大な被害が出たが、迅速な対応により死者数はゼロとなった
功労者である
情報操作により、今回の件に関しては「特務課」にですら事実は隠蔽された
そんななか、
修徳高校で起きていた「学校の七不思議事件」はこれにて解決。
その後、探求科には
アルキの「もう一つの人格」であること
「兎角」を持っていること
この二つのみ……あとは「一教師」であると伝えている。
ただ探求科にはまだ一人足りない……「
「西川恭吾」に関することも、繰り返された「虐待」によるものであるということで、罪には問われない
強力な「兎角」であることで本来なら「国」の管理下に置かれてもおかしくはないが、「探求科」にアルキがいる限り、という条件付きで、学校を辞めずに済んでいる
今回の主犯として、「国」の兎角犯罪者収容所「コラプサー」へと送られた
「ヒッグス」は、
「ヒッグス」とは何なのか?
人物なのか組織なのか
どうやら、
警視庁公安部兎角課のオールドターキーはアルキの頭脳、ターキーの能力で事件を解決していく諜報員。彼らは「兎角」という謎から、人々や世界を守っていくために「フクロウ」のエースとして今後も活躍していくだろう
だが、あくまでこれは、アルキの「未来の伴侶」を探す物語。
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