ソレでも日々ヲ暮らす

久屋暮間

日々ノ基盤

第1話続く日々(1)

 水面に映る自分を見る

「あんまりわかんないよな〜でもな〜」

(鏡もない場所で自分の姿を見れただけマシ)

 と自分に言い聞かせる。

 ただした。

(もう自分は人間ではない)

「考えたら落ち込むだけだ今はまだ現状把握したばかり、まだ数日しか生きれてないから巣を作らない・・・」

(停まっていれば時間も止まる訳でも無い)

「やらなきゃ」


 そう言葉を漏らす一匹のトカゲが屈めていた身体を4つの足で持ち上げ湖の縁から遠ざかる。

 淡い希望も捨て現実を見たトカゲは大きくも小さくも見えた・・・


 コトの発端は数日前にまで遡る。


 彼は少し頭のいい学校に通っていた、いや通ってはいなかった。

 彼は俗に言う不登校児であった。

 小学生のときから余り通っていなく、中学生の入学時の世界中で流行した病で通う事が無くなった。

 だが彼は勉強し高校に入学したがまた通わなく1年経過した。

 近くのコンビニにカップ麺を買いに行ってたその道中で彼は死んだ。

 よくある左右の不注意で彼は車に轢かれて頭を強く地面に叩き付けられて

 脳出血での死亡。

 ただ稀にある事故の中でも変哲もない死。

 彼の人生はそこで終わった。

 はずだった。


「ん~...あさ?...でもくらい?あせでべちょべちょすr」

 彼が言い終わる前に謎の浮遊感に包まれる。

「はぇ?」

 彼が困惑するそして理解する前に強い衝撃が彼を打つ。

「..っはっっ....!!!」

 彼はこれでも頭は良いのだ。

(誘拐されてる!?)

 そう彼が思ったのも束の間前から液状の物が流れてくる。

(まさか俺のことを....!)

 彼が反応した時にはもう遅く身構える前に巻き込まれてしまった。

「..っ!..はぁっ!.....」(なんとか息を!!)

 だが彼の不安を嘲笑うかの様に流されて行く方向から光が差してきた。

(出口!)

 彼と液状の物は光に向かって流れて行く、そして彼は彼自身の異変に気がつく。

(なんで匂いが口から?!)

 そんな疑問も考える暇もなく遂に光の中に流されてしまった。

「ぐえっっ!」

 ドサッと音がすると同時に液状の物が降り掛かる。

「マジで最悪」

 そんな悪態をつく言葉が出るが次に続く言葉が脳から出てこない。

 目に入るのは自分より圧倒的に高い木々、赤茶色のサラサラした液体、黄土色の少しドロっとした液体、そして自分の身体を覆う薄い被膜、永続的に入ってくる情報は彼を焦らせるには十分過ぎる内容だった。

 彼の中では防衛本能に近いものが夢であって欲しいと言うとこれまで感じてきた痛みや息苦しいさからだと言う理性がせめぎ合っている。

 そして思い出してきた最後の記憶、車に轢かれたことを。

「そうだ....アノ時......いや、でも......今俺はいきt...」

 ふと気づく何時もとは違う身体、当たり前のごとく在った身体

「はは.....まじ....?...」

 変わり過ぎた今の自分の体軀

「そう思うと視界も変だしな.....横を向いたつもりだったけど後ろが見える.....でかくみえるなアレ」

 彼の後ろには彼を丸呑みにするのも容易い大きな大蛇?が力なく存在していた。

「はははっ」

 誰もが思考を放棄するような光景、そして知る自分の現状、すべてがフリーズする。

 彼以外を除いて....

 突然「グ~」っと音がなる。

「それでも腹は空く....か......」

 感じるのは美味しそうな匂い、被膜の破れた場所から入ってくる匂い。

「ゴクリッ」と喉がなる、無意識のうちに自分のことを覆ってる被膜を腕だった部分で破る。

 一番近い美味しそうな匂いをたどると大蛇?の口元にたどり着く。

 赤茶色の液体をひと舐め.....「ぐっ!.....何だこの匂い?」

 匂いに目線を向けると牙から滴り落ちる青色の液体、それがあたりに散っている赤茶色の液体と混ざり合っている。

「毒だな」

 そう断言する、一度止まった思考がまた動き出した。

(この液体....多分血だよな....それでこの黄土色の液体は胃酸だろ)

 彼は頭の中がパンクする前に解るものは整理しようとしていた。

(血の匂いが美味しそうな匂いとして認識しているなら多分俺は肉食もしくは雑食と思う、生きるならば最低限住処と食だけ確保できれば.....)

 彼の中では着々と日々生きるための計画が練られ様とした、だが

「頭が回らない......陽はまだ高いし少し休憩しよう」

 そう彼が呟くと近くの木の根まで歩き胴体を地面につけた。

(多分俺はトカゲなんだろうな、尻尾見えてたし....今は休憩考えないようにしよ)

 彼は透明なまぶたを閉じ規則的に呼吸し始めた。

 空はまだ青く見えた

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