花美哉

第3話 花美哉 ③

2032水無月二週

3歳牡馬ヒメヒコは

静岡ハミル牧場で日向ぼっこだ

2031年7月にデビューしてから6戦2勝

2勝を上げたダート路線に照準を絞った

伏竜Sを勝利した折で、本賞金1,400万円

大目標は10月上旬のダート三冠最終戦

ジャパンダートクラシック Jpn1

2024年

3歳ダート路線の改編によりダート三冠が整備された

羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック

最終戦は従来7月開催のジャパンダートダービーを改称及び移動し、新設された

ダート2冠馬アゲハ

彼女が2032年3歳のダート王だ

ヒメヒコを取り巻く関係者

調教師 ミホー

牧場主 ユタタ・ヨウコ

馬主　ソソス

8月のレパードS GⅢを目標に定めた

ユニコーンS GⅢで13着に沈んだヒメヒコは

そもそも

三冠最終戦への出走が叶わない可能性が高い

中央からの蹄は28つだ

レパードS1着馬に付与される優先出走権を取りに行く

・・・

さて、

ユタタはある競馬新聞を見ていた

それは艶かしい味のある出馬表だった

「ヨウコ、珍しい出走があるぞ」

「えっどれ？」

「ほら」

「あら、あまり見ないわね」

「変わった名前だな」

エプソムカップ GⅢ

トホ 3歳牡馬

2012年第29回エプソムカップ

セイクレットレーブが4着して以来、3歳馬の出走だった

この時斤量は古馬と4Kg差の52Kgだった

トホは53Kgでの出走だ

若々しく猛る眼差しで出走のファンファーレを待つ

・・・

ヒメヒコは7月上旬には美浦に戻し、

レパードSへ向けて調整をしていく

静岡で負担をかけすぎない程度の運動と

日向ぼっこと芝を楽しんでいる

・・・

花美哉はヒメヒコに近づいた

頭で首元をコツンとした

4つの眼は東を向いた

今日の富士は

オレンジだ

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