不適合、素敵ね。

維櫻京奈

不適合、素敵ね。

みんなと一緒になりましょうね。と言われた。

白い服を着た先生たち。


普通でいましょうね。と言われた。

白い服を着た先生たち。


なんで? と問いかけても、普通は普通よ。そんなこともわからないの?

にっこりと笑われてしまった。心はこれっぽちも笑ってなかった。と思う。

それがなんだか、とっても悔しかった。


みんなと一緒になるためにがんばった。

とりあえず、笑顔。口角をにっとあげてみる。うまくいかない。

みんながげらげら笑うときに私も一緒に笑うのだ。


みんなと一緒になるためにがんばった。

とりあえず、やべーよ。という。

やべーよ。と言えば、みんなわかってくれる。

まじ、やべーよ。


ある日、みんなって何? と先生にきいた。

先生はみんなはみんなよ。と教えてくれた。

きみもみんなのうちの一人よ。と言った。

どうやら、ぼくもみんなのうちの一部らしい。

へんなの。あ、いけない。これが普通だった。

そう、これが普通。


ある日、みんながゲラゲラ笑ったから、

私もゲラゲラ笑った。

先生は言った。なんで、笑ったの?

みんなの失敗を笑っちゃダメじゃない。

みんなが私を睨んだ。

まじ、やべーよ。と言った。これで、通じるはず。

謝ってるんだ。やべーもん。

みんなが私を笑った。

先生も私を見て笑った。


なんだかわからなくなってきた。

胸についている時計をかぽっと取り出して、

えいっと殴ると、時計は割れて、

中からころころと小さなものがいっぱいこぼれだしてきた。

きらきらした金平糖がたくさんつまっていたんだ。


わぁ、おいしそう!

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不適合、素敵ね。 維櫻京奈 @_isakura_

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