なにものでもない

露草

第1話

 今日も1日が始まった。だけど学校が退屈な私にとっては放課後からが1日の始まりだった。

 17時半頃、家に帰ってのんびりしていると19時半ぐらいにスマートフォンが鳴る。バスが来る間暇だから少しだけ散歩したいのだと、間延びした声で後輩が言った。どうせ時間あるからと二つ返事で了承する。駅で待ち合わせをし、家を出ると程なくして後輩を見つける。相変わらず髪が長い。軽く挨拶と立ち話をして歩き出す。散歩といってもスーパーとか百円ショップを見て回りながら適当に話しているだけだ。金が無いけどカード買いたいだとか、部活の人間関係がどうだとか、そんな感じ。大半は愚痴の類である。

 一時間ほど話しただろうか。もうそろそろ、とバス停を覗くとちょうどバスが来た。入るまで見送ってからイヤホンを耳に付ける。

 暗くなった家路を辿る際、よく「夜明けと蛍」という曲を聴きながらゆったりと歩く。私の一番好きなボーカロイドの曲だ。昼よりもいくらか冷たくなった夜風に当たりながら、夜を眺めて歩くのが心地よかった。

 今は家に帰り風呂に入ってこれを書いている。いつかは明るい調子を引っさげて学校のことを書きたいが、まだ先になりそうだ。

 

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