22 「居場所」のない男、「時間」がない女/水無田 気流
前述の『七人の敵がいる』は2010年発売、『我ら荒野の七重奏』は2016年発売。
山田陽子の働き方は、『ミセス・ブルドーザー』としてあだ名が付くほどであり、その働き方は、小学校の6年間においても中学校の3年間においても、良くも悪くも変わらない働き方で書かれている。
題名の『「居場所」のない男、「時間」がない女』は2015年に発売されている。
ちょうど日本政府は『山田陽子のようなスーパーウーマン』を推進していた頃のものだ。本書を読むと『山田陽子』がいかにスーパーウーマンであり、加えて日本の女性すべてに言えるだろう「時間がない女」であることが改めてわかる。
もちろん、『「居場所」のない男、「時間」がない女』は、男性の「就業第一主義」や「生きづらさ」についても触れているし、女性の「無償労働」によって低く見積もられる労働時間や賃金、男女問わず諸所の問題について、いかに不寛容な社会であるか、きちんと統計データにより解説をしてくれている。
わたしの本音は、体感的に2015年に書かれた本の内容と変わらない2024年であると発信したいところだが、数的な根拠等を示すことをしていないので、個人の感想に留まってしまうのが、関の山だろう。
とはいえ、2015年は妊産婦であったし、1年度の育休を経て、保育園に2歳に満たない我が子を預け、いわゆるひと昔前の男性的な就労を求められ、それをやり遂げつつ、「最近の若いママは……」と言われたほろ苦い経験もある。
幸いにも夫が、疲労とストレスで爆発するわたしの話を聴き、たまには揉めながらも、どこかで寛容してくれているらしく、保育園の送り迎え、掃除、洗濯、ゴミ出し等の「食事を作る以外の家事」を徐々にしてくれるようになりました。
まあ最近はやっと「単位時間当たりの生産性や効率性を多少は重視して評価してもらえるようになってきたかなあ? うーん、上司によるかも(笑)」といった程度の変化を感じています。
ただ、超少子高齢化社会が2015年より進んでいることを鑑みると、わたしのような人は極めて稀な存在でラッキーパーソンなのだろうなとも思います。
(それなりに苦労して手に入れてますので、ここ非難されると苦しいですね。)
(でもね、こんなの苦労して手に入れるものではなくて、当たり前にならないといけないんですよ!)
夫は、保育園の送迎や学校の保護者会などに顔を出し、自然と同級生に再会し、ある意味、本書で言うところの「地域社会進出」を果たしていました。
わたしは既に「企業メンバー」に加わっていましたが、「これは新しい社畜のスタイルかもしれない……!」と思うほどに、山田陽子のミセス・ブルドーザーのごとく、単位時間当たりの生産性と効率性に重点を置いて働いているところです。
最後に、個人のライフスタイルは様々であり、上記を強要するものではありません。
だけど「居場所がない」とか「時間がない」とかを感じているご夫婦やパートナーの方がいましたら、寛容することを前提に、お互いの辛さや生きづらさを情報共有してみるのもいいかもしれません。
辛さも生きづらさも恥ではなくて、誰にでもあるものなんです。
その恥ずかしいを乗り越えるのが、これまた一苦労するのですが、時にはオープンマインドにすることで解決することもあります。
そしたら案外、自分が苦手に思っていることやものは、相手が巧妙にやり遂げてくれるかもしれません。
相手がテイク(take)してくれたのなら、己もギブ(give)で返してあげればいいんですよ。ただ、それだけです。
(2024.9.23)
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