21 『山田陽子』/加納 朋子


 加納朋子さんの作品のなかに『山田陽子さん』という登場人物がいらっしゃいます。

 『七人の敵がいる』と『我ら荒野の七重奏』の方です。

 あえて登場人物とさせてもらったのは、三人称一視点ながらも、稀に別の登場人物に視点がバトンタッチされていますし、大団円を迎えるまでの道のりは、この『山田陽子さん』の力だけではなく、登場するみんなの力によるものだからです。


 なぜ『山田陽子さん』をクローズアップするのかというと、多忙な仕事ではバリキャリで、子どものこととなると猛進して、家庭のお財布であり、見た目で少し敬遠されやすい。他にも人間として面白い側面が垣間見える彼女で、性格的な特徴も見逃せない人物です。

 あんまりに列挙してしまうと、それはそれで読み始める方の楽しみを奪ってしまうので、多くは書きませんが、そんな『山田陽子さん』と、現状の霜月があまりにも似ていて「これって、まるで私のことではっ……!」と、苦笑しながら共感してしまった登場人物でもあります。


 『七人の敵がいる』は子どもがいない頃に、『我ら荒野の七重奏』はここ最近に読みました。

 『七人の敵がいる』を読んで、子どもができて小学校にあがったら大変(面倒)そうだなあ、なーんてぼんやり考えていたような。

 『我ら荒野の七重奏』は、多忙ななかで仕事して、学校やママ友との付き合いもして、子どもとのコミュニケーションを大事にする陽子、わかるわぁ~と目線も変わるものです。


 特に女性は、どうしてもライフステージの変化が多く訪れますので、共感できる部分が多い作品かと思います。




(2024.9.22)

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