雨の日に

陽色

本編

いつの日からだろう、好きな人と話ができなくなったのは。


私には大好きな男の子がいた。

彼とは高校に入ってから出会って、何でかわからないけど、私から告白をして付き合うことになった。

でも、ある時を境に、彼と話す事が出来なくなってしまった。

細かいキッカケは思い出せないけど、雨の日の下校中だった。

私は多分、ヒドいことを彼に言ってしまったのだと思う。

その会話を最後に、私は彼と話せていない。

勿論、毎日、彼を見つけては話しかけて謝ろうと努力はしているが、何を言ってしまったのか、まったく思い出せない。

思い出せない癖に何を謝るんだって話だけど、私はとにかく彼と話をしたかった。

今は何を言ったのか思い出せないけど、彼と話をすれば思い出すと思うから...




今日も話せなかった。

どうしても彼を前にすると声が出なくなってしまう。

何でだろう、今までは全然大丈夫だったのに。

これは私が思っている以上に重症だ。

次は緊張しないように作戦を建てよう。

私は、あの日、彼と最後に会話をしたところに来た。

さぁ、どうするか。

私が必死に頭を回転させていると、知らぬ間に雨が降って来た。

私は折りたたみ傘を出そうとして身体を捻ると、あることに気がついた。


あれ、どうして私、濡れていないの?

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雨の日に 陽色 @youshi__tatarou

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