ツキアカリ6.1
とある宿屋の廊下にて。
スキンヘッドの部下のサカイと私ことアカサカは廊下でワガママばお嬢の駄々で廊下に立たされていた。
まったく、廊下に立たされるなど学生の頃以来だ。この空虚な時間はあまり好ましく無いのに、最悪だ。
「アカサカさん......多分お嬢の事ですしまたコッソリ抜け出したりとかしませんかね?」
「まぁ、あのお嬢の事だし悪巧みはしているだろうな。というかもう出て行ってると思うんだがな」
それは勘でしかないが。
「どど、どうするんですか!?」
「まぁ落ち着け。お前は心配性すぎる」
「で、でも」
「まず、この街は近年急成長してる発展途上の街だがスラム街がまったく目立っていない。何故か、わかるかサカイ」
「それは我が街、桜ノグループが支援しているからでは?」
「そうだ。それに加えてこの街は廃墟だらけの闇市から復興してきた点もあって団結力がある。仲間意識が強いって訳だ」
「つまり優しい人が多いって事っすね!?」
「ああ。現に犯罪がまったく起きていない。この街を仕切ってる人間はかなりのカリスマなんだろうな」
「ヘェ〜」
「俺たちはこれからそんな奴と会う訳だがな」
「そっすね。気になります」
この街は少し特殊というか、私の勘から言わせれば異質と言わざるを得ない。私の主人が異常なほど気にかけるのもなんとなく分からなくもない。
「あ、それとお嬢大丈夫ですかね......かなり人見知りですし、トラブル起こしそうじゃないですか」
「まぁ、不安ではあるな」
「また昨日の連中に絡まれたりしたらどうするんすか」
「いや、今回はあのふたりがいるしなんとかなるだろうな」
「あいつらは信用できるんですか??」
「まぁ、信用できるかは置いといて、お嬢は1人でもまた出るからな。いないよりマシって事だ。それに......」
「それに?」
「あの片方の黒髪の少年、かなりガタイが良い。目付きも違った。かなり喧嘩慣れしているだろうな」
「よく見てますね......」
「まぁ、引くな。私もお嬢のSPをしている身だ。立場上な」
「まぁ、もう心配しても無駄なんですもんね」
「これ上に漏らしたらしょっ引かれるから絶対話すなよ?」
「もちろんですよ。お嬢想いのSPさんの人情な訳ですしね」
「無駄口は叩くなよ。後悔する事になるぞ」
「ひゃ〜怖い怖い」
まったく、私も甘いな。それでもお嬢の事を思えばこれぐらいのワガママは通してあげたいと思ってしまう。そんな事は口が裂けても言えないけれど。
ああ、お嬢に何も起きなければいいが。
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