悪役令嬢×2 〜令嬢2人で最強タッグを組んで破滅フラグを回避します!〜

しまかぜゆきね

プロローグ 2人の令嬢

「で、あんたどうするつもりなのよ。何か目星はついてるの?」


 ガタガタと揺れる馬車の中で、美しい金髪の少女が悪態をつく。


 相手は正面にいる黒髪の少女だ。


「目星って、私が知るわけないじゃないですか。王国はあなたの国でしょう?」


 こともなげにそう言うのを見て、金髪の少女はため息をつく。


「何を偉そうに言ってるのよ。全くしょうがないわね、そんなんだから宮廷内で嫌われるのよ」


「……そっちも相当嫌われるのには長けている様子でしたけれどね」


「あんたほどじゃないけどね」


 一瞬、沈黙が訪れる。が、すぐに黒髪の少女が口を開く。


「……この密室ではあなたお得意の逃げ足が使えないことを忘れないことですね。もう少し余計なことを言っていたらその顔を蹴り飛ばすところでした」


「あんたって頭脳派ズラして脳筋のバカよねw…………ぐえっ! やったわね!」



 外で馬車を運転する御者は、引き攣った笑顔をしながら中から聞こえてくる険悪な会話とその後に続く鈍い音を聞かなかったことにすると決めた。


 何せ今乗せているのはグランディネ王国の大公爵令嬢と、レイ帝国の左大臣令嬢の2人だからだ。


 自分の責任が問われてしまっては首がいくつあっても足りない。


 東の帝国から西の王国に続いている道を、馬車はガラガラと走る。


 今から始まるのは、敵対する2大国の悪役令嬢2人が、力を合わせて破滅フラグ・東西大戦を防ぐべく奮闘する物語。






■あとがき - - - - -

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