第2話 むせかえる程、香ばしい腐臭

明智臣と足軽が屋上への階段を昇りきった所で扉は既に開いていた。

遠目からでも屋上の柵の辺りに数人が集まっているのが視認できる。

放課後に屋上でたむろするのが流行りな訳はないがご苦労な事だと

思いながらも扉を抜けて足軽と共に屋上の中ほどまで歩いた所で

足軽がたむろしていた数人に声を掛けた。

連れてきたで、五所川原!

数人の中心にいた身の丈170後半の男が明智臣に近づいて言った。

俺は五所川原というもんだが、ようこそ明智臣君!

と、言いたい所だが所謂この学校のルールというか、この街の掟と言うかね

その辺を説明しておこうと思ってね!薄く笑いながらそれにつられて

周りの男たちもニタニタと笑顔を見せている。

と言うと?と明智臣が聞いた。

今後、二年無事にというか五体満足で学校生活を楽しみたいなら

君は毎月俺らに上納金を納めなければならない。

額は五万だ!意味わかるよな?

ん?毎月の学費以外にそんなのあったっけ?と問い返したら、、

その数人連中は高笑いを始めた。

まあもちろん冗談で聞いたのだが、学生に五万はきついよ!

五所川原君!

それにもしその上納金を断ったらどうなるのかな?

明智臣はワザとおどけて聞いた。

そうだな。そうなると、その舐めた口の利き方から教育しないといけなくなるねえ。

ここまで聞いても理解できないか?

薄く笑ってはいるが目は笑っていないのが妙にウケるのだがソコは表情に出すのは

ぐっと堪えてみた。

足軽!

明智臣の右後ろ二メートルの所にいた足軽が近づいてきて、

いきなり殴りかかってきたのである。

まったく困ったもんだなあ、と思いつつ足軽が放った右中断の蹴りを明智臣は

蹴りの衝撃を巧みに逃がしつつ、右足の下を潜る形で回転しながら右足を掴み

あしらうと共にうつ伏せ状態になった足軽。

所謂シャイニングウィザードである。

足軽の右足を掴み上げながら素早く靴を脱がし、

匂い経つような靴下も脱がせた刹那、親指を曲がってはいけない方向へ

高速で向けた。

ミチッ?コリコリッ?というような形容しがたい鈍い音がした。

ああぁあう!

足軽の声、というか叫びは屋上なのでよく響いた!

明智臣の前にいる数人は一瞬何が起こったのか理解出来ていないのか

思考が追い付いていないかの如く、硬直していた。

足軽が屋上の床でもんどりうっているのも気にせず明智臣は五所川原に

声を掛けた。どうしたの?五所川原君?随分と気分がすぐれないようだけど?

男たちは足軽が何をされたのかは本当の所は理解出来ていなかったので

とりあえずビールみたいな感じで襲い掛かってきたのである。

馬鹿にも程というものがあるのだが、、、

まあここは早送りにして、、、、、、

五所川原以外は屋上の床に転がっているという状態で再び聞いた。

さっきの上納金の話だけどねえ、君らが私に毎月五万を納めるという

話だったよねえ?五所川原君?

はい、、、そうです。と目線を逸らし顔を恐怖に引きつらせながら言った。

もし今後報復などを検討中ならばどうぞご自由に。

いわば床の彼たちはフルコースでいう所の前菜だよ。

どうしてもフルで楽しみたいなら君の自由だが、おすすめは出来ないねえ。

まあ充分に検討するといいよ!彼らにも説明してあげてね!

そして明智臣は屋上を後にし、階段を下っていった、

ジャマイカ辺りのステップで、、、、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る