傷つけたくないものがある
明鏡止水
第1話
私は禁忌を犯してしまった。
きょうだいに大金を借りたのだ。
それも趣味のお買い物のために。
ぼんやりと、クレジット会社も事情を説明すれば返済を待ってくれるだろう。
と思ったらダメだった。
お給料日はまだだけど、障害年金がある。
もちろん治療、診察代、お薬代に使っているけれど。
この一年の私は浪費家で、とうとう借金もしたし。
そして、とうとう、子育て中のきょうだいにまで借りてしまった。
きょうだいは本業と副業、育児に習い事のお迎えに役員に大忙しだ。
クレジットカードの返済や消費者金融から借りたお金の返済。
あとは、近々楽しみにしていたイベントに父と言って東京をぶらりとする。
甘えている。
舐め腐っている。
四月あたりに母に唐突に今までの苦労へのお返しというか、今後の担保みたいなもので十万円渡した。
今、それがあったらきょうだいにお金は借りなかったかもしれない。
いや、私のことだ。使ってしまっていただろう……。
あれば使ってしまうというのもある。残しておくとお金を持っていると思われて辛いから使ったりもした。
高額な買い物を繰り返した。
きょうだいに取り乱したメッセージばかり送る。リボ払いにすればまずは安心なのに、手数料みたいのがかかるのがいやで変更できないでいる。
最低なことに、四月の十万円、残っていないか、と。聞き辛いので父にかわりに母に向かって聞いてもらうと、「税金に使った」とのこと。税金?! なんの? 車か! 時期的に。
よくよく考えれば半年間失業保険と障害年金をもらっていたのに、そして、まだ入って間もないにしてもお給料を貰っている身でどうして、借金何十万も作ってカードの返済に追われて、次のお給料ばかり当てにしているのか。
自分でもどうしてこうなってしまったのか分からない。毎日買い物したいわけじゃないし、ATMの手数料とか大嫌いだ。出費に対しては鬼だった。水筒持って、お弁当作った時期だって人生にはあった。
でも、たいせつなのは、いま。
親戚にまでお金の無心をしてしまい、挙句すぐ返す約束だったのに予定はがガタガタ。
シンプルにお金の計算が出来なくなった。
我慢もしないし、仕事さえ続いていれば大丈夫と思っている。
今後の目標。
借金を返す。
口座からは自動で引かれるのと振り込みがあるからきちんと管理する。
イベントでは、欲しいものがとにかくあったけど抑えようと思う。というか抑えるしかない。
いざとなったらリボ払いのツケは勿体無いけどリボ払いにしようと思う。
障害年金は大事にする。
食事とこれからは水分をしっかりとる。
幸い、一日一食はまともに食べている。
両親には借金があることは絶対にわからないようにする。怖い。
でも、今後、もしきょうだいの家が大変になって私が借りたお金のせいで辛い思いをするようなら、きょうだいにはどうか父母へ相談して欲しい。私がまあ狂っているのかもしれない。
簡単にお金が借りられてすぐ振り込まれて、限度額いっぱいで、おまけに家族にも借りる。
これはヤバイではない。危ない。危険なヤツだ。
これを書いている時は平穏でいられる。
狼狽えたメッセージを送ったらきょうだいは、不安になるくらいなら買い物気をつけなよ、と、改行と顔文字を組み合わせて優しく諭してくれた。
なにか、間違った。私は間違っている。
とにかく、返済だ。マイナスをプラス、信用を取り戻すために。家族に迷惑をかけないために、返していかなくちゃ。
今まで借りられることはあっても、気まぐれに親に食費を渡すことはあっても、自分がお金を借りることがあったかというと、記憶がない。
お金を借りると言うことがわかっていなかった。
罪悪感も湧かないくらい、自然にお金を借りて、趣味に使ってしまった。ここまで文章にしてもやっぱり罪悪感が湧かない。
とりあえず今回のお給料でカードの支払いと借金の返済は今後仕事を休まなければだいじょうぶ。毎日をコツコツ生きよう。
でも、実は非常用というか。
家族で家電を二台買う時があって、その時に作ったカードも使ってしまった。
救いようがない。
よく調べもしないでリボ払いとやらにして良いのか。シミュレーションすると五千円くらい、余計に手数料かかるみたいだ。でも、それくらい回数が多い。
悩んでも悩んでも考えることをしない。
とりあえずどっかのサイトで見たけれど、「お金を借りたら仕事を辞められなくなる」。
辞めたくはないけれど、統合失調症、夜勤が入って自律神経がどうなるか怖い。幻覚や妄想で好きでもない人に猛烈に恋心を抱くような失敗はしたくない。
何はともあれ、貸してくれたきょうだいへの感謝と反省と、せっかくつけてるお小遣い帳を活用したい。
もっと考えなきゃいけないこととしては将来のことなんだろうけれど、もう将来に備えることが曖昧模糊で、ホント、ぼんやりしてる。
たぶん、ぜんぶお金を返せたら楽になって将来を考えられると思う。それか、将来ばかり考えて、反発して取ってしまった行動でもあると思う。
母の言葉も言い方も辛い。
怒ると怖いのは父。
泣かしたくないのはきょうだいたち、親戚。
うちは片方の親戚がやっぱりお金やリストカットや親族間のトラブルの多さから、絶縁してるから。
いまある家族を大切にしたい。
それには隠れた借金なんて、黒すぎる。
二年くらいかかるかもしれないけど、精一杯返す。
せっかく好きなものが手に入る暮らし、遠くを見に行ける暮らし、将来結婚したいなあという漠然とした思い。色々ある。
ここまでお金借りたお話ばかりで申し訳ない。
ダメな人で、しっかりしてなくて、家族に迷惑をかけている。今の所そうです。
自分なりに、考えて生きると言うことを、まだまだ、学んでいるんです。
高額な品物をたくさん買ってしまったけれど、大事にします。
傷つけたくないものがある 明鏡止水 @miuraharuma30
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます