刻印戦記-AlterFrontier(アルターフロンティア)

ワサオ

プロローグ 世界が湧いた日


 西暦2050年1月1日アメリカ時間午前0時……世界中が待ちに待ったとあるゲームがノーマッド社より生中継でPVが発表された。


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 君は観たことがあるかい?


 エメラルドに輝く雪原、虹色の花畑、赤く隕石が降り注ぐ火山地帯、空に浮かぶ神秘の空中都市、呪われた樹木が潜む森、伝説竜の巣窟、古代生物が蔓延る海、機械の軍団が制圧する起動都市……


 誰もが夢にまで観たファンタジーの世界……


 それを今、体験出来る。


 全世界対応、完全フルダイブ型VRMMO‼︎その名は……


 AlterアルターFrontierフロンティア


 専用のVR機器AlterLinkアルターリンクを装着し、開始出来る。開始と同時に脳に人体に影響がない特殊電波を発信し、脳内から体全体にリンクし、起きた状態ながらAlterFrontierにプレイ出来る‼︎


 目を開ければ、君はもうAlterFrontierの住人となる。

 いつも生活してるように歩こうと考えれば普通に歩く事が出来る。走る事もジャンプする事も、パンチする事も全て自分の思い通りに動いてくれる。それにAlterLinkの特殊電波により視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感を感じる事でき、更なるリアリティを追求‼︎

 もちろん喋れる事でき、遠くに離れた友達といつでも会話が出来るし、世界統一サーバーで海外の人達とも会話が出来る‼︎


 英語や日本語が分からない人達の為に、プレイヤーが喋ると瞬時に翻訳され、プレイヤーの言語で声が聞こえる機能もつけれるぞ‼︎


 そしてログアウトすれば電波は止まり、いつもの生活に戻れる。


 オンラインゲームに必須‼︎武器の紹介だ‼︎


 素早く相手に攻撃する剣、広範囲で多くの相手を攻撃する槍、攻撃速度は遅いが1発1発のダメージが大きい大剣、遠くの敵を狙える弓など武器など様々‼︎


 そして主人公達に立ちはだかる敵‼︎


 迫り来る大迫力の火炎龍、海に潜む太古の王者メガロドン、降り注ぐ隕石の大群。どこもボタン一つひとっ飛び‼︎


 敵はモンスター達だけじゃない‼︎同じプレイヤーも敵となる‼︎1対1の決闘、10人での大乱戦など、自分達の装備で多くのプレイヤーとの勝利を掴め‼︎


 装備も充実しているぞ‼︎ショップで買う事出来れば、ランダムガチャでレアモノの装備品をゲットしろ‼︎


 戦いだけじゃない‼︎釣りやギャンブル、海で泳いでキャンプ、そして自分だけの家の設計や物作りなどの無限やり込み要素や、水族館や恐竜園の鑑賞場など戦い以外にも楽しい事がいっぱい‼︎


 移動するには歩きだけ……そうではない‼︎爽快に動ける乗り物が多数登場‼︎空飛ぶボード、スカイダッシュ。地上ではバイク、空では飛行機のダブルビークルなど今後も多くの乗り物が誕生するぞ‼︎


 その他にも懸賞金システムや連勝システム、大規模討伐イベントなど、楽しみが沢山‼︎


 綺麗なファンタジー世界、大迫力のモンスター達、そして自分だけのキャラクターで仲間達と、ライバル達と共に駆け巡れ‼︎そして頂点に立て‼︎


 AlterFrontier……8月1日より始動。


 さぁ、みんなもAlterFrontierに……


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 この10分も満たないPVの発表を受け、世界中は一気に盛り上がった。連日、ニュースや掲示板でもAlterFrontierの話題で持ちきりだった。


 VR対応オンラインはこれまでに幾度とあった。だがそれはあくまゲームとしてだ。そして多くのゲーマー達は刺激を求めていた。

 自分自身がその世界の中に入り混んで、自分の手で足で五感で動けるゲームがしたい……その時に発表されたのがこのAlterFrontierだった。


 その点、当時から政治家により批判も飛び交った。現実とゲームの世界の区別がつかなくなり、犯罪を犯すかもしれないと

 この時代でもゲームを悪く見る人は少なくはなかった。それも初の試みのVR世界に飛び込むタイプのゲームである事に……


 当時のニュースコメンテーターの予想では予約は100万行ったら良い方だと報じられていた。


 そしてアメリカ時間2月1日午前0時……専用VR機器AlterLinkの予約が全世界一斉に始まった。


 AlterLink……約3万3000円程。


 それは想像を遥かに超える予約数だった。たった10分の間に世界中からAlterLinkだけで100万台以上の予約が入った。7月上旬までに1700万台をも予約されていた。


 発売日及びAlterFrontier稼働日の8月1日……


 世界中ではゲームショップに大量に押し寄せる事態が発生した。仕事を辞めてまでAlterLinkを買いに来たサラリーマンや学校を休んでまで買いに来る学生、中には主婦や老人など、老若男女問わず大人気だった。


 アメリカ時間午後0時……AlterFrontierオープン。

 初日で最大900万人以上の人が同時ログインしていた。


 この日だけでも世界中の経済的損失は激しく多くの企業が傾きかけたと言う。すぐさまAlterFrontierは社会問題へと発展し、多くの企業、政治家、大統領などがテレビで苦言していた。


 逆にニュースでの批判がAlterFrontierの注目を集め、皮肉にも批判が更なる売り上げ貢献を務めたのであった。


 世間でのAlterFrontierの評価は満足度97%を記録する程、多くの人達を熱狂させた。


 そして8月4日AlterFrontierを作り上げたノーマッド社社長ダリーズ・ロンネス(56歳)は全世界生中継会見でインタビュアーの前でこう言い放った。


「私は30年以上前から、ゲームを作り、ゲームをやり、ゲームを売る……だけど結局は画面の向こうの世界。その当時にVRと言う次世代機器が発売され、私はすぐ買いその世界を堪能した……映像は荒く、風景映像ばっかりだった。でも感動した荒くても少しでもその場にいる感動を得られた。そこで私はVR世界に住み、新しい歴史を開拓する……その気持ちを30年も持ち続けて、多くの研究や多くの実験を得て、このVRゲームAlterFrontierを完成させた」


 そして次の発言が、多くのAlterFrontierプレイヤーを震撼させた。


「我々の住む世界はこの宇宙だけじゃない‼︎このAlterFrontierをもだ‼︎そして私の生きた全てのノートがこのAlterFrontierにある‼︎辛い事もある、嫌な事もある‼︎だが、その現実世界だけに溜めてはいけない。このAlterFrontierには君達だけが世界がある‼︎……運命をこの手に掴み取れ‼︎」


 この会見は世界中で大反響を呼び、9月に入る頃には合計販売数2000万台を余裕で超えた。


 その盛り上がりの裏でとある風の噂が流れていた。


 このAlterFrontierには発表されていない隠された特殊能力が何個も潜んでいる……と


 

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