第七話 艦族のギルド
ジャンク街からほどなくした所に、艦族に依頼を持ちかける艦族のギルドがあってフランとモブが入っていく。
真っ先に、電光掲示板に向かっていくモブ。
「うわ、ロクなのがねぇ」と声が聞こえ。やたらしょんぼりした姿ですぐに帰って来た。
一番マシなのが、ここから星みっつ行った所にあるホド港への配達だが……。
「何が不満なんだ、運び屋なんだろ?」「あぁ、これ運ぶものがこぎって果物なんだが無茶苦茶足が速くて。その割に小さいから運賃も取れないんだよ」
しかもダメになったら料金が払われねぇやつなんだ。同じ果物だったらビスコスとかの方が、実入りが良いんでまともな艦族はやらねぇんだよ。
ヴァレリアス博士の遺物の中には、ギズモみたいなダメに一切の時間経過無く保存出来る様な倉庫もあるが。あれは量が入らない上に、ギズモの現存数を考えてもそこらの艦族がもってるもんでもないしな。
量が入るギズモなんてあったら、大手とすぐ契約出来るぜ?それで一生安泰だと苦笑した。
「他のも、大体がアブねぇもんばっかだな」「弱小が選り好みしてんじゃねぇよ」
そういって、他の柄の悪い艦族たちがげらげらと下品に酒を掲げる。
「うるせぇ、弱小だからこそ選り好みしねぇとすぐにおまんま食い上げだっつーの」
げらげらと煩い連中、モブも同じようにゲラゲラと下品に笑う。
フランが苦笑しながら、どうすんだこれからと尋ね。
「これを、受けて次の星へ移動だ」片手で一枚の紙を掲げひらひらとふる。
「ニィシーズ星の傭兵ギルドへの宅配か、確かに客の柄は悪いが実入りは悪くない」
モブが颯爽と受付嬢に尋ねると、柄の悪い受付嬢が乱暴に印鑑をついた。
「フラン、行くぜ」「了解、艦長」
二人で外へ行こうとしたときに、フランに足を引っかけようと試みた酔っ払いが居たがやんわりと避けて去ろうとした。そこへ、ジョッキがフランに向けて投げられた。それも、やんわりと受け止めると入っていた酒を投げた艦族の頭にぶっかけた。
「なんで、そんなつえー奴がお前の船なんかに……」
別の外野の呟きに、フランは肩を竦めただけだった。
「行き先がニィシーズなら、寄りたい所があるんだが」
「ん?構わねぇよ」
「すまねぇ、ちょいと知り合いの所によって預けといたものを受け取りたいんだ」
「判った、じゃ一緒に行こうぜ」
フランが助かるよと言えば、モブも前を向いたまま手を振った。
「何言ってんだお前から金貰ってなきゃこっちは飢え死にだった事考えりゃ運賃だろこんなん」「俺も命を救って貰ってんだ、お互い様さ」
二人で、街を歩いて艦のあるドックについた。
「おーい、艦長ぉ。例のせんべいに三人分の予約とっといたっス」
「ありがてぇ、いい加減このクソ狭い寝返りもギリギリの船で寝るのはしんどかったんだ」
体のあちこちをガタピシと言わせながら、腕や足を曲げ伸ばしするその様子を見て二人が笑う。
「本当、前居たトコとはえらい違いだな。これから楽しくなりそうだ」
頭の後ろに手をやり、苦笑しながら。
「さて、小さい秘密とデカい秘密をどのタイミングで話したもんかな」フランは呟いたがその声はどちらの耳にも聞こえていなかった。
「そういや、艦長仕事あったんすか」「あぁ、いつも通り宅配の仕事がな。ただ、行き先が傭兵ギルドって所がキツイんだが」「うわぁ、他になかったんすかあのアウトローの集まりみたいなとこでしょ?」
「俺達も似たようなもんだろ」「社会のはみ出し者ってとこしかあってないっス」
「ぷくく……、本当面白い艦族だな。まぁとにかく折角部屋とってくれたんだ、のんびりしばらく休憩させてもらうよ」「これ、せんべいまでの地図っす」「おっありがてぇ」
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