(二)-5

 カメラに向かってそう言った後、与党議員らの動きを他に任せて白髪の議員が一人、小波渡の方へ歩いてきて「改正銃刀法の審議には絶対に入らせません」と言う。

 小波渡は慌てて議員にマイクを向ける。

「あんな酷い法案、絶対に潰さなければならんのです。この牛島栄治郎にお任せ下さい。絶対に廃案にしてやります」

 興奮気味にカメラにそう語ると、カメラに背を向けて再び混乱の渦へと身を投じた。

「バリケードが築かれる前に議場に入った議員もいますが、数としてはそう多くなく、半分に満たない程度だということです。そして与野党問わず、多くの議員がまだ議場に入ることができないため、審議はまだ再開されておりません。国会からは以上です」


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る