今度こそ疲れ過ぎないようにリベンジ!でも結局ハプニングだらけの2回目一人旅in松江・出雲

夏目碧央

第1話 降って沸いた機会

 去年の夏、初めての一人旅に出て味を占めた。だいぶ大変な目にも遭い、反省点も多いのだが、それゆえに、リベンジではないけれど、もう一度一人旅に出てみたい。そんな気持ちもあった。

 日本全国、行ってみたい所はまだまだある。そんな中、ふとある新聞記事の端っこに目が留まった。

―日本三大そばー

その単語にピクリと眉が動く。岩手の「わんこそば」、長野の「戸隠そば」、そして島根の「出雲そば」。それが日本三大そばだそうだ。「わんこそば」は家族で盛岡に行って食べた事がある。「戸隠そば」は食べたことがないが、長野は近いので、そのうちに行けそう。そういえば、東日本大震災があった年に、スキーに行くつもりで予約した長野の「手打ちそばの宿」は、あれは戸隠だったような気がする。だが、あの辺りでも大きな地震が相次いでおり、キャンセルしてしまったのだ。いずれ行きたいものだ。

 そして「出雲そば」。初めて聞いた。出雲か……。行ってみたい場所のランキング上位に位置している。出雲と言えば歌舞伎発祥の地だ。歌舞伎は出雲の阿国が始めたと言われている。また、出雲には日本中の神々が集うと言われる。10月を「神無月(かんなづき)」と言うが、出雲だけは「神在月(かみありづき)」と言うそうな。そんな場所に、一度は行ってみたい。どんな場所なのか。

 と、思ったものの、いつ行こうか。できれば10月が良いけれど、混むのかしら。そんな事を考えている時に、何気なく夫に話をした。

「出雲に行ってみたいんだよねー。」

それは、家族旅行の行先にするか、という話でもあったのだが、夫は即答した。

「行っておいで。今すぐ行っておいで。」

いや、今すぐって言われても困る。いつ行ったらいいのかわからん。その時は2月。やっと次男の大学受験が終わったばかり。だが、つまり夫は、私がまた一人旅に出ても良いと言っているのだ。そうか、それなら行ってしまおう。いつ行こうか……。


 その数日後、ANAが「全国一律7000円」キャンペーンをやるという事を知った。ツイッターやメールでお知らせを見た。普通、飛行機なんて2万円とかするでしょ?それが7000円?遠くへ行く程お得ではないか。これは行くしかないのでは!出雲へ、いざ!

 というわけで、キャンペーン期間の4~5月(ゴールデンウイークを除く。土日は1万円)に急遽、出雲へ行くことに決めた。しかし、その後JALでも「全国一律6600円」キャンペーンをやるという情報を得る。そっちの方が安いではないか。ただ、飛行機に詳しい人によると、JALのキャンペーンを狙っていても、取れない可能性があるから、それなら先にANAで取っておいた方がいい“かもしれない”と。

 だが、あまり迷う必要はなかった。私が出雲へ行くと言うと、かつて出雲へ一人旅をしたという友人が、米子空港を利用して松江に泊まり、そこから電車で出雲へ行ったという話をしてくれた。なぜ出雲空港ではなく米子空港にしたかと言うと、そこから松江に向かう途中にある、天空へ上る道路が見たかったのだそう。CMで見たのだとか。それで、私も米子空港を利用しようと考えた。そして初めて知ったのだ。米子空港にはJALの就航はなく、ANAでしか行くことができないのだという事を。一方、出雲空港にはANAの就航はなく、JALで行くしかない。割と近くに空港があるのは、そういう棲み分けがあるからだったのだ。

 というわけで、この際400円の違いなどは気にせず、ANAで米子空港へ行く事にした。

 2月末。キャンペーンの日がやってきた。夜中の12時からチケットを取ろうとしたが、先にログインしておくべきだったのに一瞬遅れ、サーバーに繋がらない。しばらくトライしたものの、繋がらないので諦めて寝た。それでも、夜中に目が覚めてしまい、一応ANAのサイトを見に行ったがやっぱり繋がらず。翌朝、もうダメかと思ったのだが、サイトを見に行ったらすんなり繋がった。そして、無事に米子空港までの往復チケットを手に入れたのである。

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