第14話

香織と涼介は、インドで得た情報を胸に、再び日本の地に足を踏み入れた。成田空港に降り立つと、二人の心には新たな決意と共に、真紀の思いを解き明かす使命感が宿っていた。


「ここからが本当の調査の始まりね。」香織は疲れを感じさせない表情で涼介に言った。


「そうだな。インドで見つけた手がかりを元に、真紀の家族や友人たちと話をして、彼女の心の奥底に触れることができるかもしれない。」涼介もまた、その目に強い意志を宿していた。


二人はまず、真紀の家族と連絡を取り、訪問の約束を取り付けた。真紀の両親の家に到着すると、そこには暖かく迎えてくれる家族の姿があった。


「お待ちしていました。香織さん、涼介さん。」真紀の母親は涙を浮かべながら二人を迎え入れた。「真紀のことを調べてくださって、本当にありがとうございます。」


「いえ、お力になれることがあれば何でもします。」香織はそう答えながら、真紀の両親に深く頭を下げた。


リビングルームに通され、真紀の父親が静かに話を始めた。「真紀がインドでどのような思いを抱えていたのか、私たちも知りたいんです。彼女の心の中に何があったのか…」


涼介はインドでの調査結果を共有しながら、真紀が再生の儀式に参加した理由やその心の葛藤について詳しく説明した。


「彼女は再生を求めていましたが、心の痛みは消えなかったようです。」涼介は静かに語った。「彼女の日記には、絶望と希望の間で揺れ動く心の葛藤が綴られていました。」


真紀の母親はその言葉に涙をこぼし、手で口元を押さえた。「彼女がそんなに苦しんでいたなんて…」


香織はそっと母親の手を取り、優しく語りかけた。「真紀さんは、深い愛と感謝の心を持っていました。彼女の思いを知ることで、私たちも真実に近づけると信じています。」


その後も、香織と涼介は真紀の家族と共に時間を過ごし、彼女の幼少期の思い出や彼女が愛したものについて話を聞いた。家族との絆が深まる中で、彼らは真紀の心に触れる手がかりを少しずつ見つけていった。


「香織さん、涼介さん、これを…」真紀の弟が一冊のアルバムを差し出した。「真紀が大切にしていた写真です。ここに彼女の思いが詰まっています。」


香織と涼介はそのアルバムを受け取り、ページをめくりながら、真紀の人生の一部を垣間見た。彼女の笑顔、家族と過ごした幸せな瞬間、そして夫との愛の記録がそこにあった。


「彼女が愛していたもの、守りたかったもの、それがここにすべて詰まっているわね。」香織はしみじみと語った。


「これを見て、真紀が何を求め、何を感じていたのかをもっと理解できるかもしれない。」涼介もまた、深く感慨を覚えていた。


こうして、香織と涼介は真紀の家族との絆を深めながら、彼女の心の奥底に触れる手がかりを得ていった。家族の愛とサポートを受けながら、二人は真紀の死の真相に迫るための新たな一歩を踏み出した。

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