第48話 魔境ダンジョン
精霊たちが感じたという妙な魔力。
それがルナレナ様の力を奪っている事態と何か関係があるかもしれない。今すぐにでも調査へ乗り出したいところではあるが……問題はその場所だ。
「……竜崎くん」
「なんすか?」
「ダンジョンへ足を踏み入れた経験は?」
「一度もないっすね」
「そっかぁ」
やっぱり、そんな気がしていたんだよなぁ。ただ、彼は今の見た目こそ人間だが、その正体は聖竜族というかなり特別な種族であるらしい。彼は自分を落ちこぼれと表としていたが、ルナレナ様曰く戦闘力はかなり高いという。
ダンジョンの知識はなくても、戦う力があればなんとかなるかも――と、考えたが、そうなると俺がとんでもなく足手まといになってしまうな。
「ダンジョン探索のためにいろいろと準備を整えた方がよさそうだな」
「っすね。可能な限り情報も集めて、ダンジョンに対する知識を深めておくのも大事っすよ」
「ああ。そうだな」
俺と竜崎くんの意見は一致していた。
装備と情報の充実化。
これが実現しない以上、迂闊にダンジョンへ足を踏み入れるのは避けたいところ――とはいえ、あまりのんびり構えてはいられない。こうしている間も、ルナレナ様の力は失われているのだ。
――ただ、ここでひとつ問題が。
「しかし、装備と準備を整えるなら、この世界の町へ行かなくちゃいけないってことだよな」
そうなのだ。
すべてを揃えるためにはこの世界の町へ行って調達する必要がある。
つい先日、ようやくこの世界の人間と言葉を交わしたばかりだというのに……ハードルが一気にグンと上がった気がするよ。
「あの洞穴の奥へ行く気かい?」
「えぇ。そのつもりです」
竜崎くんと話し込んでいるうちに、長老やシャリー以外にも精霊たちの数がめちゃくちゃ増えていた。
そんな精霊たちは皆一様に心配そうな表情で俺たちを見つめている。
どうやら洞穴――つまりダンジョンへ向かうことは望ましくないと考えているようだ。
「あそこには何かが眠っている……それだけはハッキリしておるが、正体については未だに分からぬままだ」
「何か、ですか……」
これまた随分と曖昧な。
しかし、何かがいるという事実が判明しただけでも心持ちは違う。
やはり入念な準備と備えが必要になりそうだ。
とりあえず……情報とアイテムを調達する町を決めなくちゃな。
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2024年12月23日 12:00 毎日 12:00
会社を辞めて魔境キャンプを楽しみます! ~社畜生活に疲れきっていたら創造の女神にヘッドハンティングされました~ 鈴木竜一 @ddd777
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