第22話 イベント参加
次の日は朝から現代日本へ戻ってイベント参加の準備に取りかかる。
ワゴン車のトランクには今朝収穫したばかりの野菜(メイドイン異世界)がダンボールいっぱいに詰め込まれている。
一応、種自体は日本の種苗専門店で購入した物らしいので一般の人が口に入れても大丈夫らしい。
まあ、あの神秘的な森が化学物質で土壌汚染されているとは思えないし、何なら俺もあそこで育った野菜を食べているけど味におかしな点はなかった。それどころかこっちで育てた野菜よりうまいくらいだ。
逆に健康面でいい効果が得られるんじゃないかとさえ思えてくる。
「私もそれに出るの初めてなんだけどさ、おいしい食べ物とかってある?」
「屋台がいくつか出店する予定なんであるっすよ」
「やった!」
「向こうに着いたらお小遣いとして三千円あげるんで楽しんでくるといいっす」
「うむうむ。大儀であった!」
三千円のお小遣いでテンションが爆上りする創造の女神……威厳も何もあったもんじゃないなぁ。
まあ、(見た目の)年相応な反応と言われたらそうなのかな?
……いや、今時の女子高生は三千円くらいのお小遣いじゃ満足しないのでは?
その辺の事情は分からんので放っておくとして、今日は俺も楽しもうと思う。
地元の道の駅のイベント、か。
チラシがアパートの郵便ポストに入っていたことはあるけど、実際に足を運んだ経験は一度もなかった。
社畜にとって土日は貴重な充電期間。
しかも場合によっては土曜が休日出勤になって週休一日って日も少なくはなかったし。
祝日なんて都市伝説だと思っていたくらいだよ。
「あれ? どうかしたんすか、矢凪さん」
「な、なんでもないよ」
ちょっと過去を思い出して暗い気持ちになったが……今は違う。
残りの人生は異世界の魔境と生まれ育った地元でやりたいことやって暮らしていこう。
道の駅に到着すると早速テント設営に移る。
現在の時刻は午前七時。
営業開始は午前九時だから二時間のうちに準備を終えないと。
「よし。チャチャッとやっちゃおうか、竜崎くん」
「うっす!」
「頑張ってね~」
ルナレナ様のお気楽な応援を受けつつ、俺たちは準備へと取りかかった。
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