第21話 明日はどうする?
魔境探索二日目はロイゼンハルトという頼もしい(?)協力者を得て新発見の湖へとたどり着く。
とても美しい光景ではあるが、創造の女神ルナレナ様が魔力を失い始めている原因究明とは至らなかった。単に新しいキャンプスポットを発見しただけだったな。
拠点であるログハウスへ帰還後にそう伝えると、
「やっぱりそう簡単にはいきそうにないわねぇ」
寝転がってお菓子を頬張りながら語るルナレナ様。
悲壮感も焦燥感もまったくないようなので、前に聞いていた通り危機的な状況というわけでもないようだ。
「魔力の方は大丈夫ですか?」
「平気よ。まだあと一万年くらいはもつんじゃない?」
「い、一万年って……」
「あんたたち人間にとっては途方もない数字に聞こえるのでしょうけど、神単位でいったら少ないからね」
そりゃそうかもしれないが……とりあえず、俺が生きている間に大問題へ発展する必要はなさそうだ。
とはいえ――
「ちなみにルナレナ様の魔力が尽きたら?」
「こっちとあっちの世界が滅ぶわよ」
サラッと恐ろしいこと言っちゃうんだもんなぁ。
「まあまあ。焦ってもいい結果は出ませんから。もうじきハンバーグが出来上がるっすよ」
「わーい!」
竜崎くんお手製のデミグラスソースがたっぷりかかったハンバーグ。
……しかし、ログハウス内は普通に現代生活を送れるんだよなぁ。
コンロで火を使えて蛇口を捻れば飲み水が出る。
これもまた創造の女神の成せる業か。
ちなみに肉以外はメイド・イン・異世界。
ロイゼンハルトとか、仲良くなった森の動物たちもいるので捕まえるのに抵抗が出てきたしまったため……完全に俺のわがままではあるのだが、竜崎くんはその意思を汲んでくれた。
「気持ちは分かるっすよ。俺もやっぱり難しいかなって思ったんで」
「ありがとう、竜崎くん」
「ほら、あんたも皿を出すの手伝いなさいよ」
「おっと、失礼しました」
その後は三人で食卓を囲みつつ、明日のイベントについて話し合う。
俺は竜崎くんの手伝いをしようと思うのだが、意外にもルナレナ様は参加に乗り気だった。
「私もあちらの世界の民たちがどんなイベントを楽しんでいるか興味あるわ!」
どうやらこういうのに出るのは初めてらしく、めちゃくちゃテンションが上がっている。
張り切りすぎて変なことをしなくちゃいいけど。
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