自作のソシャゲがスキルで最初にガチャで引けたのが主人公ってどゆこと!?

桜田かける

ソシャゲ譚 第一章 月とうさぎ

第1話 自作ソシャゲ

「はぁ………」

なぜため息をついているのか。

それを話せば長くなる。しかし、俺を盛大に困らせていたのは、目の前に存在している…………


———ガチャ画面だった。


時は遡り、数時間前。


俺の名前は、琴帽子ことぼうし笹兎ささと

高校2年生の男子だ。今はクラスで黙々とイラストを描いているのである。

と言うのも、最近面白いアプリを見つけたのだ。

その名は、「自作ソシャゲ」。

確かにシンプルな名前で、面白くなさそうに聞こえるかもしれないが、絵を描くこととゲームが大好きな俺にとってはめちゃくちゃ面白いゲームなのだ。


内容はソシャゲを自分で作ると言うもので、確かに機能は限られていて一からソシャゲを作りたい、と言う人はコマンドとかそう言うのを使ったほうがよりリアルになるのだが、俺はそんな技術はないのでこれで助かっている。


まず、ソシャゲといえばガチャ。

自分でイラストを描き、名前やスキル、そして能力値などを決めたら、それをキャラとして登録する。そして、ガチャを作る際にもガチャに名前を決めることができ、詳細な設定ができる。

例えば、『〇〇ピックアップガチャ』と名前をつけ、ピックアップにしたいキャラの確率をいじれば、本当ソシャゲのピックアップと同じガチャを作ることができる。


もちろん、キャラだけでなく、武器やアイテム、防具などもイラストで作ることができる。

メニュー画面も作ることができ、結構な幅のものを作ることができる。

合成や、マップ。仲間達からのヒントという欄を作ることもできる。


次はイベントだ。

ここで作ることができるイベントというのは、


・ミッションイベント

・ガチャイベント

・倍率アップイベント


の三種類である。


ミッションイベントは報酬などがもらえるミッションをランダム、もしくは狙って出すことができる。

ガチャイベントはピックアップなどのイベント、つまり特別なガチャ枠が解放されるということだ。

倍率アップイベントはドロップなどの倍率が上がるというもの。


これらに共通するのは、すべて期間限定であること。


他にも機能はあるが、それはまた今度……ということにしよう。


「あ〜疲れた」

現在、俺の作ったものは全て多すぎて数え切れない。

ちなみに作ったものは、作品としてアプリ内に出すことができる。

マップを追加したりストーリーを追加したりできるのだ。

地味にそれが楽しくて、人気があるゲームの一つとなっている。


言い忘れていたが、俺の作っているこのソシャゲは現在、このアプリ内で最もプレイされているゲームになっている。

まぁ、簡潔に言えばランキング1位というわけだ。


そして、自分で作りたくないと言う人のために、自分が作った設定のソシャゲを遊ぶこともできる。


クラスでの俺の立ち位置と聞かれたら、まぁそこそこだ。

俺はクラスの連中には極力自分がソシャゲを作っていることを隠している。

それは……学校でストーリーが作れなくなるから。

いちいち見られていたら書きたいもんも書きたく無くなるし、学校の生徒じゃないユーザーの皆さんに申し訳ないし。

しかし、熱狂的なファンにはバレてしまう。

キャラの修正をしていたらたまたまその画面を見られてしまい……まぁ、誰にも言わない代わりにテストプレイをさせてあげるということで落ち着いた。

その熱狂的なファンがクラスの一軍女子だった時はものすごく驚いたのだが……。


「まだまだ描くか………」

そういって、再度描き始めようとしたその時だった。

「おい!?なんだこれ!?」

クラスメイトの1人が大声を上げた。

いつものおふざけかなんかだろう……そう思っていた。

しかし、その瞬間たくさんのクラスメイトが大声をあげた。

その時に何か起きているのか?と思い、顔を上げた。

「……なんだよこれ?」

目の前……下の方はなぜか魔法陣が描かれており、キラキラと光っていた。

「いやいやいや……漫画じゃあるまいし」

俺はそういって、席を立ち上がり、教室から出て職員室に行こうとした。

しかし、教室の扉に手をかけた時、


「…………………」


俺らは忽然として教室から消えたのだった。



これから俺には災難が降り注ぐことになるのだが、俺はなんとしても生きなきゃならなかった。なぜなら………



———まだソシャゲをサ終させるつもりは一切ねぇから!!!!

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