エロゲ世界に転生したので、美少女を眷属化して最強パーティーを作ります!
天野 彼方
第1話
俺はアレン。
通り魔に刺されて死亡し、異世界に転生した。
この異世界は、エロゲ「アークス・ファンタジア」によく似ていた。
アークス・ファンタジアは、自由度の高さが特徴のエロRPGだ。
100を超えるエンディングが存在するが、俺はエンディングを全て周回して、全CGを回収した。
だから、攻略に必要なデータは暗記している。
ただ、この異世界にはセーブポイントが存在しないので、俺はノーセーブで攻略しなければならない。
ステータスウィンドウを開くこともできない。
幸い、アークス・ファンタジアは固定成長なので、ステータスウィンドウを開くことができなくても、ステータスを推測することは可能だ。
アークス・ファンタジアでは、世界を救えるのは主人公率いるパーティーだけであり、主人公が何もしなければ、世界は滅び、バッドエンドを迎える。
世界を救えるのは、俺だけだ。
早速、行動を開始しよう。
現在地点は、冒険都市カルニアの宿屋の一室。
ゲームと同じだ。
現在、俺のジョブは村人だ。
村人は最弱のジョブなので、今すぐ転職しなければならない。
アークス・ファンタジアはジョブ制RPGであり、ジョブに合わせて成長していく。
アークス・ファンタジアのジョブは、下級職・上級職・最上級職に分かれており、最終完成形である最上級職から逆算して、下級職や上級職を決める。
アークス・ファンタジアでは、2周目以降であれば、宿屋のベッドの下に転職の宝珠が存在する。
転職の宝珠を使用すると、制約条件を無視して、いきなり最上級職に転職することができる。
探してみよう。
あった!
俺は、転職の宝珠を発見した。
転職の宝珠を使用して、賢者に転生した。
賢者は最強のジョブだ。
これで、序盤はだいぶ楽になる。
続いて、俺は商店に向かった。
初期所持金は5000Gだ。
4000Gを支払い、アンロックの杖を購入した。
アンロックの杖を使用すると、扉や宝箱の鍵を開けることができる。
続いて、俺は賢者の塔に向かった。
賢者の塔の扉は、魔法鍵で閉ざされている。
アンロックの杖を使用して、魔法鍵を開けた。
ギギギ……
ゆっくりと、扉が開いていく。
賢者の塔に入り、賢者の杖・賢者のローブ・賢者の靴・賢者の魔導書を回収した。
これらの装備品は賢者シリーズと呼ばれており、ゲーム終盤でも使える優秀な装備品だ。
早速、俺は賢者シリーズを装備した。
続いて、俺は地下通路に向かった。
地下通路には、スライムが生息している。
「【ライトニングボルト】」
呪文を詠唱すると、白い稲妻がスライムに襲いかかった。
「ピギィ!」
悲鳴を上げて、スライムは一撃で倒れた。
スライムは最弱のモンスターだ。
地下通路は、スライムの出現率が高いので、序盤のレベル上げに適している。
セーブできないので、安全重視でレベルを上げる。
ライトニングボルトは、雷属性の下級攻撃魔法だ。
消費MPが少なく、威力がそこそこ高いので、レベル上げではライトニングボルトを多用する。
MP管理は重要だ。
賢者は魔法職なので、MPが切れると何もできない。
ステータスウィンドウを見ることができないが、俺はデータを暗記しているので、初期MPとライトニングボルトの消費MPから、現在のMPを把握することができる。
レベルが上がるまで、俺はスライムを倒し続けた。
◇
30分ほどスライムを倒し続けて、ようやくレベルアップした。
ゲームだったら、5分ほどでレベルアップしたので、だいぶレベルアップ速度が遅くなっている。
レベル2になったので、俺は地下通路の奥に向かった。
地下通路の奥には、ラットが生息している。
「【ライトニングボルト】」
ラットは、レベル2賢者のライトニングボルトで、一撃で倒すことができる。
レベル1だと、一撃で倒せず、少しだけHPが残ってしまうので効率が悪い。
アークス・ファンタジアのレベル上げは、敵を一撃で倒せる狩り場で行う。
レベルが上がるまで、俺はラットを狩り続けた。
◇
1時間ほどラットを狩り続けて、ようやくレベルアップした。
どうやら、この異世界では、ゲームの6倍ほどの経験値を稼がなければ、レベルアップできないようだ。
今後の計画に、修正が必要だろう。
レベル3になったので、俺は地下通路の最深部に向かった。
ラットの群れを倒して、回復の泉に到着した。
回復の泉の水を飲めば、HP・MPを回復することができる。
「うめぇ!」
ゴクゴクと、俺は回復の泉の水を飲み干した。
回復の泉を使用できるのは1ダンジョンにつき1回限定であり、再突入すると復活する。
回復の泉は、ボス戦の直前に設置されている。
地下通路のボス戦は、ラットキングだ。
ラットキングは、ラットの大群を召喚してくる厄介なボスだ。
だから、召喚される前に、速攻で倒さなければならない。
俺は、ボス部屋に足を踏み入れた。
「グガアアアアアアアア!!!!」
ラットキングは、威嚇するように吠えた。
「【フレアキャノン】」
呪文を詠唱すると、巨大な炎球が発射され、ラットキングを一撃で焼き尽くした。
フレアキャノンは、炎属性の最上級攻撃魔法だ。
フレアキャノンは賢者専用魔法であり、ゲーム中でも最強クラスの威力だ。
その代わり、燃費も悪く、今の一撃でMPの大半を消費してしまった。
ボスを倒すと、撃破報酬としてボス宝箱を開けることができる。
ラットキングの撃破報酬は、【眷属化】のスキルブックだ。
スキルブックを使用すると、制約条件を無視してスキルを習得することができる。
早速、スキルブックを使用して、【眷属化】を習得した。
【眷属化】は、人間やモンスターを眷属化して強化し、服従させることができる、非常に強力なスキルだ。
本来、【眷属化】はゲーム終盤で入手できるチートスキルだが、賢者の場合は、序盤から強引にラットキングを倒して、いきなり【眷属化】を入手できる。
【眷属化】は、対象を絞って専門化することで、効力が上昇する。
俺は、【眷属化】スキルの対象を美少女に限定した。
アークス・ファンタジアでは、パーティーメンバーは一定確率で裏切るので、基本的にはソロプレイが安定する。
しかし、眷属は絶対に裏切らないので、【眷属化】を有効活用すれば、最強パーティーを組むことができる。
アークス・ファンタジアはエロゲであり、一番育てやすいのは美少女キャラクターなので、【眷属化】の対象は美少女限定だ。
転送装置を使って、俺は地上に帰還した。
◇
続いて、俺は冒険者ギルドに向かった。
そして、クエスト《ピロノ砂漠の異変調査》を受注した。
「アレン様。クエストを引き受けてくださり、ありがとうございます」
依頼主であるステラが、深々と頭を下げた。
ステラは、銀髪碧眼のエルフだ。
背丈は低いが、胸はとても大きい。
魔術師のローブを着ていた。
「ああ。俺は賢者だ。異変調査なら任せてくれ」
《ピロノ砂漠の異変調査》は、達成時期によって結果が大きく変わるクエストだ。
ハッピーエンドを狙いたいなら、早期達成しなければならない。
「私は、ピロノ砂漠の管理を担当していました。しかし、近年になって、砂漠が急拡大するようになりました。異変を調査するために、調査隊を編成して砂漠に向かったのですが、残念ながら返り討ちに遭い、調査隊はほぼ全滅しました。唯一の生き残りである私も、魔法封じの呪いを受けてしまったので、もはや戦える状態ではありません」
そう言って、ステラは右腕を見せた。
右腕全体を、黒い呪いが覆っていた。
「このままでは、あと半年ほどで私は死亡します。管理者である私が死ねば、ピロノ砂漠を覆う結界が解除され、モンスターの大群が溢れてくるでしょう。そうなる前に、問題を解決してください」
「了解。まずは、魔法封じの呪いを解除しようか」
「……え? 魔法封じの呪いは、使用者を殺さなければ解除できないはずですよね?」
「俺は【眷属化】を使用できる。俺の眷属になれば、自動的に呪いは解除されるぞ。賢者である俺は呪いを完全無効化するし、眷属に対してもこの効果は適用される」
「……分かりました。アレン様の眷属になりましょう」
《ピロノ砂漠の異変調査》を早期達成すれば、ステラを仲間に加えることができる。
しかし、【眷属化】スキルを持っていれば、《ピロノ砂漠の異変調査》の達成前から、ステラを眷属化して、仲間に加えることができる。
眷属化すると、レベルはリセットされるので、ステラはレベル1だ。
こうして、俺達はピロノ砂漠に向かった。
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